アジア最終予選のイラン戦で引き分けて落胆するソン・フンミン(写真:Getty Images)
アジア最終予選のイラン戦で引き分けて落胆するソン・フンミン(写真:Getty Images)

 ロシアワールドカップ・アジア最終予選をグループA・2位で突破し、6大会連続の日本をしのぐ9大会連続10回目のワールドカップ出場を決めた韓国代表だが、ロシアへの道のりは厳しく、迷走が続いた。

 6月にはドイツ人指揮官のウリ・シュティーリケ監督が更迭に。新たに代表チームの指揮を任されたシン・テヨン監督のもとで辛くも予選突破を決めたが、4勝3分け3敗の勝ち点15での予選突破に、国内メディアも『恥ずかしい本大会進出』(『CIVICnews』)と報じるほどだった。

 もっとも、苦戦の前兆はあった。就任直後の2015年アジアカップで韓国代表を準優勝に導いたシュティーリケ監督だったが、16年6月のスペイン戦で1-6の大敗。その数カ月後に行われた中国やウズベキスタンとの最終予選を取材したが、勝利という結果が出ている中でもポゼッション重視の戦術は『韓国に合わない服』と指摘され、メンバーを固定し、試合の流れも変えられない生真面目な采配に『監督限界説』を唱えるメディアも多かった。

 選手視察だけでなく育成行事にも積極参加するシュティーリケ監督の人柄は素晴らしかったが、敵地とはいえシリア、中国、カタールといった格下と思われていた相手に勝てなかっただけに、更迭されても仕方がなかっただろう。

 ただ、苦戦の原因はシュティーリケ監督だけにあったわけではない。現在の韓国代表はソン・フンミン(トットナム/イングランド)、キ・ソンヨン(スウォンジー/イングランド)、ク・ジャチョル(アウクスブルク/ドイツ)など欧州組が多く、ナム・テヒ(レフウィヤSC/カタール)やキム・ヨングォン(広州恒大/中国)など中東や中国でプレーする選手もいる。かれこれ20年間、韓国サッカーを取材してきたが、海外組の多さでは過去最高とも言えるかもしれない。

 ただ、海外組といえば聞こえはいいが、欧州組で継続的に試合に出場できているのはソン・フンミンとキ・ソンヨンぐらいだ。また、中国や中東はリーグのレベルとして高いわけではない。海外組は多くなったが、それが代表チームのレベルアップには繋がっていないのだ。

 しかも、個々のコンディションにバラつきがあり、息を合わせる期間も少ないため、まとまりにも欠く。それは欧州組が大半を占めるハリルジャパンも抱える悩みでもあるが、長く韓国代表を取材してきた身として気になったのは、韓国代表のステータス低下である。

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