夏目雅子さん (C)朝日新聞社
夏目雅子さん (C)朝日新聞社

 白血病を患ったヒロインを思い「助けてください!」と世界の中心で叫んだのが2004年。白血病が“美人薄命“の代名詞のような病と言われるのは、夏目雅子さんによるものが大きいのかもしれない。彼女が短い生涯を終えた1985年9月11日。あれからも多くの芸能人やスポーツ選手が病に倒れていった――。白血病を経験した筆者が、夏目雅子さんの命日に思うこととは。

【写真】こんなにキレイだった!在りし日の夏目雅子さん

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 急性骨髄性白血病により、27歳の若さでこの世を去った夏目雅子さん。映画「鬼龍院花子の生涯」で主役を務めるなど、日本を代表する女優への道を駆け上がろうとしていたまさに脂の乗りきった時期の悲劇だっただけに、日本国じゅうに与えた衝撃は大きかった。

 急性骨髄性白血病は、骨髄で作られる造血幹細胞が悪性腫瘍化して、正常な血液を作ることができなくなる、血液のがんである。正常な白血球が減少すると免疫力が低下し、正常な血小板が減ることで止血作用が弱まる。治療をしなければ、最終的に死に至る。原因は、現在の医学でもはっきりとわかっていない。つまり、いつ誰でも襲われる可能性のある病なのである。

 2015年の人口動態統計によると、日本では年間8631人が白血病で亡くなっている。発症率は10万人に約7人といったところか。

 白血病でこの世を去った芸能界、スポーツ界の有名人は意外に多い。

「1986年のマリリン」などのヒット曲で知られる歌手の本田美奈子さんは、臍帯血移植を受けたが再発、2005年に38歳でな亡くなった。彼女の遺志は「リブ・フォー・ライフ美奈子基金」として、難病患者の支援活動に引き継がれている。乳がんで妻の小林麻央さんを亡くした市川海老蔵は、父・団十郎さんを白血病で亡くしている。治療、再発、移植を繰り返した9年間に及ぶ壮絶な闘病の末、2013年に旅立った。

 お笑い芸人のカンニング竹山は、今やピン芸人としての地位を確立しているが、元はコンビ。幼なじみで相方の中島忠幸さんは2006年、リンパ性白血病で35歳でこの世を去った。1人になった竹山は、カンニングの名前を残し続けている。

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