「あまりタラレバの話はしたくないですけど、やはり(途中から)出るとしたら負けているか、点が欲しいシチュエーション。あの時は勝っていましたし、(出番は)あまりないかなと思っていました。追加点も入りましたしね。ああいうシチュエーションでは僕は使われないなと。僕自身はそういうタイプかなと思っています」

 ただ、ワールドカップ出場を決める試合をベンチやピッチサイドから見て、代表チームの戦い方をより強くイメージすることできた。「これをやりたいんだという監督の気持ちも聞いたので、戦術の理解度は高まった」と柴崎。そのベースに柴崎の強みであるビルドアップの質やゲームコントロールを加えていくことはチームの攻撃面に大きなプラスとなるはずだ。

 スペインでさまざまなポジションを経験し、プレーの幅を広げている柴崎だが、スタートから出る場合は4-3-3のインサイドハーフか4-2-3-1のトップ下だ。インサイドハーフの場合、井手口や山口ほどガツガツと前からボールを取りにいくタイプではないが、常に相手の行動を限定してボールロストを誘発する守備はできるし、球際での強さも身に付けている。

 ボールを持った時は、裏を狙う選手へのパスの質と精度の高さもさることながら、自分が前に出ながら相手の守備を引きつけ、生み出したスペースにウィングや2列目の選手を走らせるといったプレーは井手口や山口にはないクリエイティビティの一つだ。そうしたものを短期間の準備でどこまで表現できるか不明だが、強靭なボランチと2センターバックを擁するサウジアラビアの守備を崩すには有効だ。

 そしてポゼッションしたい時間でのプレーの正確性と、周囲がパスの出しどころに困った時にボールを引き出し、時間を作るプレーにも期待がかかる。オーストラリア戦は縦を狙うプレーが機能した一方で、ボールをキープしながらつなごうとした時に中盤の選択肢がなくなり、アンカーの長谷部誠に戻したところで周りの動き出しが少ないので手詰まりになっていた。

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