他の生徒が解けない難しい問題でも、Aくんには「伸びると言われたんだ」と信じて「キミなら解けるはず」と応援したことでしょう。つまり子どもは、人から「あなたならできる」と思われ、期待されることで、実際にグングンと伸びていくということが証明されているのです。大して期待されなかった他の生徒はいまいちの伸びであったことを考えると、親は子どもにどんどん期待してしまったほうが、子どもは成長するというわけです。「私の(あるいは夫の)子どもだから、まぁこの程度だろう」なんて考えはすぐに捨ててしまいましょう。私も、息子のやたらしつこくこだわる頑固なところ、なのに興味ないものにはまったく興味を示さないところ、失敗をすぐごまかそうとするところなんかに「うわぁ、私のダメなとこそっくりじゃん」と悩ましく思うことは多々ありますが、「なんでちゃんとやれないの?」という否定的な態度や言葉は出さないようにしています。「なんで?」などと言ったところで理由などわかるはずもないので、言わないと決めちゃったほうがラクです。

 父親や母親にも「息子(まこと)にできないとか無理だというようなことは言わないでくれ」と伝えてあります。ボタンを留めるのがうまくできなかったり、プラレールが上手に組めなかったりで息子は「まことにはできない!」と癇癪をおこし泣きわめくことはしょっちゅうです。でも私は「え? ママはまことなら出来ると思うけど?」と、さも「息子には簡単なこと」という雰囲気を醸し出し、難しいときは軽く手伝いつつ、達成させることで自信をつけさせています。4人の子どもを東大理IIIに合格させた佐藤ママが話題になりましたが、彼女の本を読むと「子どもたちは絶対に理IIIに受かる」と信じ切っているのがわかります。親が子どもに最強の環境を用意してあげたいなら、間違いなくピグマリオン効果をつかうべきでしょう。

 そんな息子ですが、先日の七夕で、幼稚園から短冊に願い事を書いて提出してくださいという宿題が出ました。そこで願い事を聞いてみると「まことはハチになる!」と、元気いっぱい夢いっぱいの予想の斜め上をいく答えが……。

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