計算カードで数字感覚を身につけよう
計算カードで数字感覚を身につけよう
例えば割り算の計算カードなら、表に「48÷6」と記入し、裏には答えの「8」を書き込む
例えば割り算の計算カードなら、表に「48÷6」と記入し、裏には答えの「8」を書き込む

 小学校6年間を通して学ぶ算数。いちばん核となる部分はなんでしょうか。

【計算カードの書き方はこちら】】

「6年間でいちばん大切な算数技術を2つあげるとしたら、『計算』『単位換算』につきます。算数はどんな単元であれ、最後には計算をして答えを出すことが求められる。つまり最後の計算でミスをすれば点数が取れないんです。単位換算は小学校算数の最大の壁となる『割合』『速さ』を解くカギとなり、この2つは小学算数の要といえます」

 そう話すのはプロ家庭教師の安浪京子先生です。

 特に計算が大事で、それは中学受験をするしないにかかわらず、つまずいている子どもが多いからだと、安浪先生はいいます。

「高学年ほど『うちはもう高学年だから、少しくらいミスしても次は大丈夫』『塾に通ってしっかり計算のトレーニングをしているので基礎は十分』と思いがち。でも、そこが計算の落とし穴です。高学年、中学受験を考える人こそ、計算の何につまずいているのかが見えにくくなって、いつまでもミスが減らないんです。そのためにはミスが出たらすぐに基礎に立ち返り、計算を強化する習慣をつけてほしいのです」(安浪先生)

 では、どのような方法が効果的なのでしょうか。

「まず間違っている部分をよく見て、何につまずいているかを保護者が把握してください。九九を間違えているのか、繰り下がりの引き算を間違えているのか。そこがわかったら、ごく基本的な計算カードでトレーニングするだけで、だいぶ計算力がアップします」(安浪先生)

 計算カードは、100円ショップなど市販の単語帳を使って4種類作るのがおすすめと安浪先生は言います。

「表に式を、裏に答えを書き、親が式を読み上げ、子どもが答えを言うというシンプルな方法ですが、子どもは特定の式の答えに詰まったり、特定の数字の入った計算をいつも間違えたりすることがあります。基礎的な式でありながら、子どもの苦手な式や数字が出てくるので、それが分かったら、何回か繰り返すだけで計算力がさらに確実なものになります」(安浪先生)

 また、3年生から出てくる「単位換算」も、問題を解くうえで重要な算数技術のひとつ。

「単位換算がいつまでもうまくいかないと立ち止まっている子どもはたくさんいます。例えば『割合』では文章題の中の『百分率(%)』『歩合(割・分・厘)』を、立式するときは小数に直す必要がある。トレーニングを繰り返しこなして、慣れるようにしましょう。中学受験を考えている場合はここに「分数」の項目を作るのもおすすめです」(安浪先生)

 速さの単位換算はどのように練習すればよいのでしょうか。

「速さの単位換算はとても厄介です。なぜなら時間は60進法なので、普段10進法に慣れている子どもは『時間→分→秒』あるいはその逆をするときに混乱しやすいのです。その場合は時間の変換を『分数』で考えるようにするといいですね。例えば20分は何時間かを考えるとき、20分は60分のうちのどれくらいか、つまり20/60=1/3(時間)とすると、答えを出しやすくなります」(安浪先生)

 このように、計算と単位換算をいかにスムーズにできるようにしておくか。これが小学生算数を得意にするためにいちばん大切な部分と言えそうです。この二つを意識することで「問題が解きやすくなり、解ければ算数がもっと好きになりますよ」と安浪先生。ぜひ家庭でも取り組んでみてください。