得点源として期待されるFW小川航基。(写真:Getty Images)
得点源として期待されるFW小川航基。(写真:Getty Images)

 5月20日から韓国で開幕するU‐20W杯に若き日本代表が挑む。昨年のU‐19アジア選手権に優勝し、2007年大会以来5大会ぶりに世界への扉を開けたU‐20日本代表を率いるのはJリーグのジュビロ磐田を率いた経験を持つ内山篤監督だ。

 予選敗退に終わった前回のチームでコーチを務めていた指揮官は“飛び級”で同チームを経験していたMF坂井大将(大分トリニータ)をキャプテンとしてベースを固め、MF堂安律(ガンバ大阪)やFW小川航基(ジュビロ磐田)など、個性的なメンバーを組織に組み込みながら、辛抱強く戦術を植え付けてきた。

 そして迎えたU‐19アジア選手権は順風満帆な戦いぶりではなかったものの、試合を重ねるごとに逞しさを増し、日本にとって“鬼門”と言われた準々決勝を突破。最後はサウジアラビアを破り、アジア制覇を成し遂げた。さらに海外遠征や国内合宿を通じて組織の強化と同時にチーム内競争を活性化させ、15歳の久保建英(FC東京U‐18)や18歳の田川亨介(サガン鳥栖)を最終メンバーに加えた。

 この2年間でテストされた選手は83人にのぼるが、大会に参加できるのは21人。4人に1人しか生き残れない競争を勝ち抜いた多士済々だが、チームとしての一体感は強い。前線から最終ラインまでをコンパクトにして選手間の距離を近く維持し、相手に対して常に数的優位を作り出すのが日本の基本スタイルだ。

 そうしたオーソドックスなスタイルこそ、個人が輝きを放つベースでもある。特に右サイドハーフを基本ポジションとしながら流動的にバイタルエリアを狙うレフティーの堂安と、同じ左利きで左サイドから幅広くチャンスを作る三好康児(川崎フロンターレ)のイマジネーション溢れるプレーはチームの大きな武器。「あいつがこのチームで一番点を取っている」と内山監督が信頼する小川航基と鋭い飛び出しを持ち味とする岩崎悠人(京都サンガ)の2トップを生かすも殺すも彼らの活躍次第だ。

 高い組織力をベースにした主力メンバーに加え、個性派揃いのサブメンバーは攻撃にアクセントを付け、時に決定的なプレーでチームに終盤の得点をもたらす。チーム随一とも言えるテクニックと高いセンスを持つ15歳の久保はその一人で、181cmの田川も思い切りの良いフィニッシュワークが魅力。遠藤渓太(横浜F・マリノス)は左右のサイドでプレーが可能で、独特のリズムを持つドリブルは縦にも横にも仕掛けられる。

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