怪我で離脱した森島司(サンフレッチェ広島)に代わり追加招集された高木彰人(ガンバ大阪)はメンバーの中でも異質な才能の持ち主だ。鋭利なドリブルと抜群のシュート力が武器で、ハマった時の破壊力は大先輩の宇佐美貴史を彷彿とさせる。また卓越したパサーであるボランチの市丸瑞希(ガンバ大阪)も勝負のキーマンになりうる選手。日本が決勝トーナメントに躍進する場合、必ずや彼らの中から“ラッキーボーイ”が誕生しているはずだ。

 日本の強みのひとつがセットプレーだ。国内合宿中に行われた練習試合のホンジュラス戦では、CKから2つのゴールを奪った。キャプテンの坂井をはじめ三好、遠藤、市丸、久保などがキッカーを務め、188cmのDF冨安健洋(アビスパ福岡)などがゴール前に上がるセットプレーはいくつものパターンを隠し持ち、ターゲットになる選手も変幻自在だ。初戦の南アフリカはもちろん、平均身長で日本を上回るウルグアイやイタリアに対しても貴重な得点源になりうる。

 初戦の相手となる南アフリカは、アフリカ勢の中でもフィジカルの強さがあり、前線の爆発的なスピードを武器にダイナミックな攻撃を仕掛けてくる。なかでも、ポルトガルの名門クラブでプレーするルーサー・シン、リアム・ジョーダンの決定力は、ツボにはまると手が付けられない。日本は持ち前のコンパクトなディフェンスをなるべく高い位置で継続してプレッシャーをかけられるかが生命線。そこで司令塔グラント・マージェマンに起点を作らせず、相手のミスからボールを奪い、連動性にやや欠けるDFラインの裏を狙いたい。

 ウルグアイは90分の戦いを想定するとグループで最も戦いにくい相手だ。理由は個人能力の高い選手が組織としてまとまり、堅守からの速攻をベースに状況に応じた臨機応変の戦い方をしてくるためだ。イタリアの名門ユベントス移籍が決まっているロドリゴ・ベタンクールが注目を集めるが、攻撃陣は未来のA代表を担いうるタレントが揃い、誰を特別にマークするということは難しい。セットプレーや堂安の個人技などから早い時間に先制できれば理想的だが、悪くとも同点で終盤に勝負を持ち込み、少しでも守備に隙が生じるところで久保や高木のゴールセンスを発揮させるプランが有効かもしれない。

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