三井住友銀行
三井住友銀行

 街中でリクルートスーツ姿の学生をよく目にする季節になった。今年の就職活動は3月の情報解禁から始まり、6月には各社で面接試験などの採用活動が本格化する。売り手市場が続いているとされる就活。人気企業にはどの大学の出身者が就職しているのか――。「大学ランキング2018」(朝日新聞出版)では、大学通信の協力を得て、学生からの人気が高い企業への就職者(16年)の出身大学ランキングを調査した。その結果を教育ジャーナリストの小林哲夫さんが解説する。

【人気企業30社が採用した大学ランキングはこちら】

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 学生の人気が高い金融・生損保をみてみると、多くの企業でトップを争うのが、慶應大と早稲田大だ。

 三菱東京UFJ銀行、損害保険ジャパン日本興亜では早稲田が1位。みずほフィナンシャルグループ、東京海上日動火災保険では慶應がトップだ。学部学生数は早稲田が約4万2千人なのに対し、慶應は約2万9千人。比率からいえば、慶應が席巻しているといっていい。

 大手予備校の調べでは、早慶両方合格したら慶應義塾大を選ぶ、という受験生は6割以上いるという。入試難易度は早慶でそれほど変わらないが、慶應を選ぶ理由の一つとして、「金融・生損保への就職者が多いから」と話す受験生、保護者は少なくない。学生による不祥事が続く慶應だが、ブランド力は揺るがない。

 また慶應大は学部を問わず実績が高いのも特徴だ。みずほFG(174人)の学部別内訳は、経済58、商42、法32、文17など。みずほFGはおのずと慶應出身が増えOB・OGネットワークが強まり、気軽に会社訪問できる環境が整っていることが強みだ。

 一方、三井住友銀行の1位は関西学院大だ。同行の母体には、住友銀行、神戸銀行といった関西系の大手都銀が並ぶ。昭和の時代、この2行には関西学院大出身者が多かった。その伝統がいまに引き継がれている。

 日本郵政グループは、地方の私立大出身者が多く、大学もバラエティーに富む。総合職、日本郵便地域基幹職、ゆうちょ銀行エリア基幹職、かんぽ生命(業務、営業、一般)など採用業種が幅広く、応募の地域が全国に広がっているからだ。3位福岡大、4位東北学院大、5位関西大など、地域を代表する大学が強い。

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