●長寿の花の房は1メートルに及ぶ所も

 ゴールデンウイーク頃に見頃となるのが、藤の花である。藤は日本の固有種であり、古来最も人々に愛されてきた花だったようだ。花札の4月としても使われている藤だが、強い日光を好み、絡みつくツルが日よけに適しているためか、全国に藤棚として盛んに植えられた。藤棚から垂れ下がる藤の房がつくるトンネルの艶やかな景色は、外国からの観光客に特に好まれるようで、CNNが選んだ「日本の美しい風景31選」の1位には福岡の河内藤園が選ばれている。

 東京にも「藤と言えば亀戸天神」と言われるほど有名な場所がある。道真が祭られている場所でありながら、彼を讒言(ざんげん)で陥れた藤原氏の花として有名な藤が名物とはなんとも皮肉な話であるが、藤の花言葉、「優しさ」「歓迎」という意味とともに「決して離れない」という情熱的な言葉も秘めている。樹齢が1000年以上という関東の藤の名所としては、東京・國領神社や埼玉・牛島藤花園(もともとはお寺の境内)などがある。

●それはなんじゃ? もんじゃ?

 ところで、この時期花をつける「なんじゃもんじゃの木」をご存じだろうか。分類学上どの種類に入るか判断に困り「なんじゃもんじゃ」と議論された、という木である。各地で正体不明ながら樹齢を重ねているであろう立派な木を指してこう呼んだ。

 かの水戸黄門が、将軍さまからの「あの木はなんという」との質問に窮して「なんじゃもんじゃ!です」と答えたという逸話も持つ木だ。現在では、この名がつけられた木は同種でないものも含んでいることがわかっているが、多くは「ヒトツバタゴ」という春に白い花をつける木を指している。なかなか目にすることのできない珍木で、都内では深大寺や神宮外苑で美しい花を咲かせる。

 上記の花々は、神代植物公園や新宿御苑、皇居の御苑などでももちろん楽しめるが、寺社と地元の人たちに深く愛され、守られてきた樹齢の長い花を見れば、一層元気になるような心持ちになるのではないかと思うのである。(文・写真:『東京のパワースポットを歩く』・鈴子)

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鈴子

鈴子

昭和生まれのライター&編集者。神社仏閣とパワースポットに関するブログ「東京のパワースポットを歩く」(https://tokyopowerspot.com/blog/)が好評。著書に「怨霊退散! TOKYO最強パワースポットを歩く!東東京編/西東京編」(ファミマ・ドット・コム)、「開運ご利益東京・下町散歩 」(Gakken Mook)、「山手線と総武線で「金運」さんぽ!! 」「大江戸線で『縁結び』さんぽ!!」(いずれも新翠舎電子書籍)など。得意ジャンルはほかに欧米を中心とした海外テレビドラマ。ハワイ好き

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