「逆境を乗り越えることで評価は得られる。多くの故障者が出る中、それでも良い結果を出したことで、私たちはそんな言葉の意味がよく理解できたと思う」

 デイブ・ロバーツ監督はそう目を細めたが、実際に厳しい状況で投手陣では20歳のフリオ・ウリアス、26歳のロス・ストリップリングといった若手が台頭して急場をしのいできた。そして何より、28歳のオールドルーキー、前田のここまでの働きは素晴らしかった。

 ロサンゼルス出身ゆえにドジャースに精通し、現在はテレビ局「NY1」でスポーツレポーターを務めるザック・タワタリ氏はこう分析する。

「前田はドジャースのファン、関係者が考えていたよりも良いピッチャーだった。制球が優れているだけではなく、自分の持ち球を最大限に生かす方法を知っている。それゆえに、飛び抜けた威力の決め球がなくとも、安定して良い内容のピッチングができる。似ている投手?黒田博樹に共通点が多いと思うよ。かつての黒田同様、今季の前田も過小評価されているくらいだ」

 ここまでの前田は28試合を投げて14勝9敗、防御率3.28という堂々たる成績を残してきた。先発数、投球回数はルーキーの中で1位。7月23日以降全ての先発機会で自責点3以内に抑えている。

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