フランス代表のディディエ・デシャン監督が警戒していたように、フランスはそのしたたかさに取り込められていく。フィジカルとスピードで打開する選手が多いチームだけに、堅陣を作られるとカウンターを封じられ、足踏み。ムサ・シソコが強引に割って入るも、波状攻撃にならない。たまらず、エースのアントワーヌ・グリーズマンが中盤に下がるが、すると前の枚数が薄くなった。

 フランスの勝機があったとすれば、58分にキングスレイ・コマンを投入した後か。切り込み隊のような動きにポルトガルの守備に乱れが出て、グリーズマンが幾度も決定機を迎えているが、決めきれない。その流れで途中出場のピエール・ジニャクもチャンスを得るが、無情にもポストに弾き出された。

 一方、ポルトガルは79分に巨漢FWエデルを投入し、相手センターバックを消耗させながら前線でファウルを誘い、ポイントを作る。のらりくらりとした戦法。冒頭の「引き分けPK勝利」も念頭に置いていたに違いない。

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