EURO制覇を喜ぶC・ロナウド(右)とペペ(左)(写真:Getty Images)
EURO制覇を喜ぶC・ロナウド(右)とペペ(左)(写真:Getty Images)

 7月10日、EURO2016(サッカー欧州選手権)決勝。ポルトガルは延長戦の末にフランスを1-0で破り、初めて欧州の頂点に立った。

 「我々が守備的すぎる? 結構だね。『ポルトガルが0-0の末に(PK戦で)優勝!』という見出しは最高じゃないか」

 実は決戦前日、ポルトガル代表のフェルナンド・サントス監督はそう腹を括っていた。力みはない。なにがあっても、老獪にしぶとく戦い抜く。その落ち着きがチームに浸透していたのだろう。

 序盤にエース、クリスティアーノ・ロナウドを膝靱帯の捻挫で失った後も、ポルトガル陣営は慌てない。センターバックのペペ、ジョゼ・フォンテ、アンカーに入ったウィリアム・カルバーリョで作った三角形でフランスの攻撃を食い止める。確実にコースを狭めた後は、GKルイ・パトリシオが計算され尽くされたポジショニングにより正面で抑えた。守備のタクティクスは堅牢で緻密だった。

 「ポルトガルの守備は経験豊かでソリッド」

次のページ