今年に入り、全国的に名を挙げたのは、5月18日の日本ハム戦(ヤフオクドーム)だ。7回1死二、三塁で福田秀平外野手の代打で登場すると、07年以来9年ぶりプロ2本目となる本塁打。「まさか誰も僕があそこで出てくるなんて思っていなかったと思う」と話した。城所を代打に出された福田は、テレビ画面上では涙を流しているようにも見えた。

 城所はこの一発を契機に、出場や打席が急増した。12年間で1本だった本塁打も、6月12日の巨人戦(ヤフオクドーム)では2打席連発。6月19日の阪神戦(甲子園)ではプロ初の満塁本塁打を放った。2番に定着すると、12年分のうっぷんを晴らすかのように安打を量産。交流戦で12球団唯一となる4割台の打率は、MVPに選ばれるのに十分だ。

 城所のようにプロ生活が10年を超えてからレギュラーを獲得した選手では、14年目に初めて規定打席に到達した1995年の渡辺浩司内野手(日本ハム)や、16年目に規定打席到達した宮地克彦外野手(西武からソフトバンク)などの例がある。超遅咲きの花は、今が見ごろだ。

(文=日刊スポーツ・斎藤直樹)