パ・リーグでは楽天が、17、19、20日に3試合連続で延長戦に突入した。昨年までの11年間、延長戦は最長でも2試合連続止まり。球団創設後初めて3試合連続の延長戦となった。

 3戦目の20日は、ルーキー茂木栄五郎が1試合5三振を喫した。1試合5三振はプロ野球最多タイ記録(延長回を含めるとエルドレッド=広島の6三振があるが、これは参考記録)だが、新人では93年鶴田(中日=投手)に次いで2人目。新人野手では初の記録となった。茂木は6打席目の延長12回に送りバントを成功させ、サヨナラとなる走者を二塁に進塁させた。不名誉な記録だけで終わらない、しぶとさを見せた。楽天も昨季から延長戦は9連敗中と不得意だったが、嶋基宏のサヨナラ打でようやく連敗に終止符を打った。

 長時間になっても決着をつける延長戦と対極にあるのが、降雨などで試合を途中で打ち切るノーゲームだ。21日のオリックスの新外国人モレルは、ノーゲームで悲劇に見舞われた。この試合でモレルは、来日初アーチを含む2本塁打。糸井にも4号本塁打、楽天のウィーラーにも3号が飛び出した、はずだった。しかし、徐々に雨脚が強まり、3回途中で打ち切られた。もちろん、本塁打の記録は残らない。1試合2発の本塁打をフイにした選手はモレル以外に近年見当たらないが、逆にプロ野球史上最多868本塁打を放った王貞治(巨人)は、1本たりともノーゲームで失っていないことで知られる。

 延長戦やノーゲームでの記録をひとつとっても、さまざまなドラマがある。だからプロ野球は面白い。

文=日刊スポーツ・斎藤直樹