韓国で待機児童が減らないもうひとつの要因としては、韓国の保護者たちの教育熱や過保護さが挙げられる。韓国は日本以上の学歴社会であることは有名だろう。学歴がその児童の人生のほとんどすべてを決めると言っても過言ではない。さらに少子化の影響もあり、保護者たちは小中高校、大学はもちろんのこと、環境がよく、教育プログラムに定評のある保育園に子供を送ることに並々ならぬ関心を寄せる。

 韓国の不動産関係者の話によれば「30~40代の既婚世代は、居住地を選択する第一条件として『教育環境』を選ぶ」そうで、「環境がよい地域は価格が高騰する傾向にある」とも言われている。実際に子育てする保護者たちの声を聞くと、事態がより切実に思えてくる。国公立の保育園に「生後6カ月で申請を出し、その時点から2年以内で入れればまだまし」で、「4歳になっても入園できないケースがざら」なのだそうだ。

 そんな、韓国ならではの待機児童問題を解決するため、ソウル市は2015年から2018年にかけて、国公立の保育園を約1000カ所増やし、対私立比も28%まで高める方針だという。“十国十色”の保育園事情。ただ日韓に限って言えば、多くの保護者が苦労しているという点だけは共通しているようだ。

(ライター・河鐘基)