66分に長谷部誠が送ったタテパスを本田がダイレクトでゴール前に折り返すと、香川は胸でトラップしながら反転して左足ボレーでゴール右に突き刺す。アフガニスタン戦の岡崎の先制点と同様、ファンタスティックなゴールだった。ただ、残念ながらどんなに美しく、難しいシュートでも1点は1点に過ぎない。

 試合はその後、一進一退のイーブンな状況となり、シリアもカウンターから日本を脅かす。ところが85分過ぎから両チームともオープンな打ち合いになると、日本は86分に本田、90分に香川、93分に原口と立て続けに加点してシリアを突き放す。

 試合がオープンな展開になったのは、山口に代わって入った原口が、専守防衛ではなくDFラインからドリブルでボールを運んだり、左右両サイドの高い位置に顔を出してゴールを狙ったりすることで、シリアに攻撃のスペースを与えてしまったからだった。

 指揮官も「動き過ぎてオーガナイズを崩してしまう。攻撃の時も(守備の)オーガナイズをしっかり管理しないといけない。右、左と好き勝手に動いてはいけない。長谷部が守備の修正をしてくれた」と苦言を呈していた。まさに“怪我の功名”がもたらした終盤の3ゴールだった。

サッカージャーナリスト・六川亨【週刊サッカーダイジェスト・元編集長】)