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東アジアカップ ハリルJ、韓国にドロー 選手レベルの“戦術転換”に光明

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代表初ゴールを決めた山口蛍(右から2人目)

代表初ゴールを決めた山口蛍(右から2人目)

 サッカー日本代表は8月5日、中国・武漢で開かれた東アジアカップ2015の第2戦で、韓国と対戦し、1-1で引き分けた。日本は中国戦を残しているが、2大会連続の優勝はなくなった。

 韓国にPKによる先制を許したが、39分に山口蛍が代表初ゴールを決めて同点に追い付く。だが、その後は暑さのため両チームとも決め手を欠いた。

 試合後のハリルホジッチ監督は、「監督に就任して初めてチャンスの少ない試合だった」と認めながらも、引き分けには「満足すべきだろう」と納得していた。この試合の成果を挙げるならば、指揮官が“アジアの夏”の戦い方を経験した点と、選手が自主的に判断してゲームを進めた点だろう。

 北朝鮮戦の前日はハーフコートで11対11のゲーム形式の練習を実施した。攻守に運動量を求められる激しい試合だった。だが、韓国戦を前に、北朝鮮戦に出場した主力組はランニングとストレッチに簡単なパス回しで、練習を切り上げた。Jリーグから続く連戦と開催地・武漢の猛暑、そして北朝鮮戦での消耗を踏まえ、ハリルホジッチ監督も選手のコンディション調整を優先したのだろう。ミーティングでも「(北朝鮮戦は)タテに急ぎ過ぎたので、もう少しつないでいい」と戦術の変更を示唆した。

 だが、試合が始まると、主導権を握ったのは韓国だった。ハリルホジッチ監督は「恐ろしくパスを回すチーム。(日本の攻撃を)ブロックするのもうまく、なかなか前へ行けなかった」と振り返っている。

 4-2-3-1のシステムからダブルボランチがビルドアップする戦術は、ザッケローニ前監督時代の日本が得意としていたスタイルだ。韓国がパスを回し、日本がロングボールで対抗する試合展開は、日韓が入れ替わった印象さえ受けた。

 ただ、日本も受け身だったわけでない。立ち上がりは4-3-3から中盤の3人、山口、藤田直之、柴崎岳はマンマークで相手を抑えようとしたが、「向こうのパス回しがうまいので1回引こう」(興梠慎三)と話し合い、10分頃から藤田を中盤のアンカーに置く4-1-4-1で韓国を迎え撃った。

 韓国の先制点は26分に与えた不運なハンドからのPKだったが、39分に山口が豪快なミドルを決めて同点に追いつく。日本のチャンスらしいチャンスはこの1回だけだったが、韓国にもほとんど決定機を許さなかった。

「試合中、森重(真人)と槙野のところから、今は我慢しろ、今は行けとかがハマった。相手が疲れているのでタテに速く行こうとか、監督の要求とピッチでの(選手の)判断が1試合目よりできた」(槙野智章)

 これまでハリルホジッチ監督と選手との関係は、“先生と生徒”のようなものだった。“先生”のタテに速くボールを入れ、常にカウンターを狙うサッカーを“生徒”は言われるまま一生懸命モノにしようと努力してきた。しかし、時と状況によって“生徒”は自分で判断しなければならない。両者の関係が上意下達からコミュニケーションに変わった点が、韓国戦の一番の収穫と言える。

(サッカージャーナリスト・六川亨)


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