「何度も名字が変わったので、正直、面倒でした。でも3度目の結婚の時はテレビにもよく出ていたタレントさんが父になった。学校で自慢できたし、ちょっと誇らしかったです。今はシングルの母ですが、今度はどんな“父”を連れてきてくれるのか、楽しみでもあります」

 しかし、中1の娘、小6の息子は、まだ幼さゆえ短期間の婚姻を繰り返す母の生き方を理解できないようだ。それも無理はないだろう。

「でも、私は自分に正直に生きてきただけです。人を殺めたわけでも、モノを盗ったわけでもありません。私の幸せな姿をみせることで子どもたちからもきっと理解が得られると信じています」(北澤さん)

 機種変婚を繰り返す女性は、皆、ポジティブシンキングだ。結婚も離婚も、「より良い私」になれる好機と捉えている。離婚理由を作ったとの理由で夫への慰謝料支払いも厭わない。

 その額は婚姻のケースによって違うが、離婚問題に詳しい弁護士によると、「50万円程度が一般的。夫の側が婚姻を機会に家を買ったとか、職を変えたなど、何がしかの特段の事情があれば高額になるが、それでも2年程度の婚姻期間なら100万円程度が相当」という。

 婚姻期間が短ければ、夫に支払う慰謝料も少なくて済む。2年という婚姻期間がちょうどいい頃合いだという。なるほど、スマホの機種変更とそっくりだ。

「より幸せになれるのなら、決して高い金額ではありません。ずっと不快な気持ちでパートナーを続けることこそ時間とお金の浪費です」

 こう話すのは大井典子さん(仮名・44歳)だ。過去、4度の結婚生活では元夫はもちろんのこと、時には不倫相手の配偶者への慰謝料も支払ってきた。

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