「『在宅療養後方支援病院』という制度があります。緊急時に入院する病院をあらかじめ登録しておくことで、いざというときその病院に円滑に入院をすることができます」(新宿ヒロクリニック)

【Q5】家族に面倒を見てもらうことができないので心配

 ケアマネジャーと相談し、さまざまな専門職の“目”が異なる日時に入るよう調整しましょう。たとえば、訪問看護の日とは別日にヘルパーが来るように設定し、最低一日一回は“目”が入るようにします。ただし、24時間一緒にいることはできないため、完全なケアはむずかしいと心得ることも大切です。

「誰もいないときに具合が悪くなったり、転んで骨を折ったりする危険もあります。それでも、施設や知らない土地に行くより自宅にいるほうがいいのであれば、在宅を選んでもいいでしょう」(白報会グループ)

 最近では、安否確認を兼ねて弁当を配達するサービスや、定期巡回のサービスなどもあります。

【Q6】一人でいるときに容体が急変したらどうすればいい?

「元気なときに、具合が悪くなったときの最初の連絡先について周囲としっかり話し合い、さらにその緊急連絡先を書き出して、自宅の目立つところに貼っておくといいでしょう」(白報会グループ)

 とくに心配なのは、一人でいるときに動けなくなったり、意識がなくなったりした場合です。民間の警備会社では、自宅内に取り付けたセンサーが一定期間作動しなかった際に、警備員が出動するといったサービスがあります。

 緊急入院のときによく起こるトラブルが、すでに救急車が到着したのに保険証などが見つからず、病院に出発できないケース。家族が保険証をしまってある場所がわからないと、探し回ることになります。保険証や薬、お薬手帳など、入院時に必要な最低限のものをまとめてポーチなどに入れ、置いておくと安心です。周囲に置く場所とあわせて「何かあったら、それさえ持っていけばいいから」と伝えておきましょう。

(取材協力:白報会グループ、新宿ヒロクリニック/取材・文:小久保よしの)

※週刊朝日MOOK「自宅で看取るいいお医者さん」より抜粋