元気なうちに、自分らしい最期を迎えるための生前の意思表明書、「リビング・ウィル」を作成することも大切です。自分で意思を決定・表明できない状態になったときの医療・ケアについての意向を明確にしておくのです。

 在宅診療専門医院の新宿ヒロクリニック、総合医療相談室の担当者はこう話します。

「たとえば、『苦しく見える状態を緩和してもらえる治療をしてくれるなら、喜んでお受けします』『昇圧薬や脳圧低下薬などの延命のための治療はやめてください』などと記し、日付を入れて署名・捺印します。こうすれば万一の場合にも、自分の意思が尊重されます」

 自分の意思を明確にしておけば、それが尊重される安心感が得られます。今後の人生をどのように生きたいのかを意識しましょう。

【Q3】費用が心配。どういう制度が利用できる?

 医療費は自己負担が高額になった場合、高額療養費制度で払い戻しが受けられます。また介護サービスの利用額の合計が自己負担の上限を超えた場合、申請で超過分が高額介護サービス費として支給されます。

 医療保険と介護保険の自己負担額が高額になった場合は、高額医療・高額介護合算療養費制度も利用できます(図参照)。1年間にかかった両保険の自己負担を合計して基準額を超えた場合、その分が支給されます。基準額は、世帯員の年齢構成や所得区分により設定されています。

「市区町村によっては居宅サービスを利用したときの利用者負担額をサポートする制度もあります」(白報会グループ)

【Q4】介護者がストレスや病気をかかえたら、どうすればいい?

 まずはケアマネジャーに相談しましょう。診療所に連携病院があれば、短期間の入院ができます。これを「レスパイト入院」といいます。介護者が力の限界を超え、介護不能となることを予防するために活用されています。

 過度にストレスなどがたまる前に、ショートステイを利用するのもおすすめ。たとえば東京都新宿区には「高齢者緊急ショートステイ」というしくみがあり、介護者が急病やけがなどをした際に有料老人ホームの居室を緊急ショートステイとして利用できます。

 それでも解決されない場合は、最終的に特別養護老人ホームや有料老人ホームを検討します。数は少ないですが、介護療養型医療施設には要介護度などの条件を満たしていれば入れます。

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