膝の手術について語る高木ブーさん(撮影・関口達朗)
膝の手術について語る高木ブーさん(撮影・関口達朗)

  「ザ・ドリフターズ」のメンバーとして知られる高木ブーさん。5年前、変形性膝関節症を患い3回もの手術を受けた。「とにかく痛かった」と当時を振り返る高木さんから、手術に踏み切った意外な“きっかけ”を聞いた。
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 ザ・ドリフターズは、転がったり、ぶつかったりして動きで笑わせるグループです。僕は、ギターが壊れないよう守りながら転んでいましたから、いま思えばひざには相当負担をかけていたんでしょうね。ずいぶん前から、右ひざに痛みがあって、ずっと病院で痛み止めの注射を打ちながら仕事をしていました。ひざの軟骨が削れる「変形性膝関節症」という病名でした。

 初めてひざの手術を受けたのは2009年。どんどん痛みがひどくなってしまって、もう手術するしかないだろうってことで、人工関節置換術の手術に踏み切ったんです。

 それまで注射をしてもらっていた都内の病院で手術を受けたんですが、手術してからも痛みはまったくとれませんでした。後でわかったことですが、手術のときに、ばい菌が入った術後感染症だったようです。

 そんなとき、神戸にある神戸海星病院から講演依頼が入ったんです。講演会の内容は「人工関節置換術を受けて」。これから手術を受けようか悩んでいる人たちに向けて、僕に「人工関節置換術を受けてすっかりよくなりましたよ。手術はそんなに怖いものではないですよ」ということを伝えてもらおうと、依頼してくれたようです。

 講演を引き受けて、いざ当日会場に行ったときは、僕がひざが痛くて足を引きずっている状態。病院の先生たちもびっくりしちゃって(笑)。講演はなんとか無難にこなして、その後に、先生に相談してみました。すると、ひざを診てくれることになったんです。

 神戸海星病院では、まずは以前に入れた人工関節を取り外す手術をし、感染による炎症が落ち着くのを待って、新しい人工関節を入れる手術を受けました。退院して1年ぐらい経ってから、もう片方の左ひざの手術も受けました。

 退院後は、週2回のリハビリとは別に、毎朝ジムのプールに通って、1時間ほど歩く練習をしていました。その練習を続けていたおかげで、いまこうして普通に歩けるようになったんだと思います。本当は1回目の手術を受けたあとの講演会でするはずだった内容の話が、今ならようやく正直に言えます。「ひざの手術は怖くないよ」って(笑)。

※週刊朝日MOOK 「首」「腰」「ひざ」のいい病院より再構成