ストレスフリーな住環境で“精神的リッチ”を堪能する「湘南スタイル」という生き方 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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ストレスフリーな住環境で“精神的リッチ”を堪能する「湘南スタイル」という生き方

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【集中連載】アベノミクス効果で伸びる高額消費 今注目を集める高級品の新常識に迫る
~Vol.2 鎌倉/湘南エリアの住宅

 「アベノミクス」の影響もあり高額商品市場が活況を呈している。しかし、同じく高額商品が飛ぶように売れた80年代のバブル景気とは様子が違い、ただ「高いもの」ではなく、付加価値を兼ね備えたプレミアムな商品が選ばれているという。今、なぜこの商品が売れているのか。本連載では、高額商品市場から見えてくる消費者のインサイトに迫る――。

*  *  *

 昔から首都圏に住む人間にとって憧れの地だった鎌倉/湘南。今、このエリアが再び脚光を浴びている。1987年に約17万6千人とピークを迎えた鎌倉市の人口は、98年に約16万7千人にまで減少したが、その後10年、移住者が増えるなどして再びピークに近い約17万4千人まで回復。物価や地価は東京と比べても決して安くはないにもかかわらず、なぜこの地域に人が集まってくるのか。今回はそんな鎌倉/湘南エリアの人気の秘密を取材した。

 全国有数の古刹が点在する古都・鎌倉。観光地としても有名だが、都心から電車で1時間程度と通勤圏内ながら、風情ある街並みと海と山に囲まれた自然豊かな環境で、昔から居住地としても根強い人気を誇るエリアだ。ちなみに、野村総合研究所が2008年度に調査した全国の私鉄沿線別の世帯当たり所得では、三大都市圏(首都圏、中京圏、近畿圏)の主要私鉄で見てみると「江ノ島電鉄線」(年間所得800万円)がトップとなっている(ちなみに2位は阪急甲陽線、3位京王井の頭線)。
 
 そんな鎌倉を中心に、相模湾沿岸の大磯から葉山までが一般的に湘南と言われる。この地域が今、「Quality Of Life」(クオリティ・オブ・ライフ)を大事にする人々から注目を集めている。5年前、結婚を機に都内から鎌倉/湘南エリアに引っ越してきた30代の主婦はこう語る。

 「海があって、山もあって、燦々と輝く太陽があって、そこにゆっくり流れる時間があって……ここに移住してくる人は、みんなそういう自然にあふれた生活を求めてやってきます。また東京との距離、さらに田舎だけど田舎じゃない洗練された文化もある。また、移住者にもやさしいオープンな雰囲気も選ぶポイントになりました。」

 鵠沼海岸にオフィスを構える建築デザイン事務所『アトリエ エーワン』の三原栄一代表は、30年以上に渡り鎌倉/湘南エリアの移住者の移り変わりを見てきた一人だ。そんな彼は最近の移住者のマインドの変化についてこう見ている。

 「昔と違って、自分のセンスを大事にする人が多くなりました。たとえば家をデザインするにしても、昔はデザイナー任せだったものが、最近は我々と一緒になってデザインをするお客さまが多い。昔と今で一番の違いを感じるのは、今、こちらに家を買おうとする人は、建築家に対してのデザイン料を惜しまない。自分の理想を一緒になって追求してくれる建築家に対して、きちんとフィーを支払うという考え方をもっている。つまり、センスを大事にした家に住みたいという人が増えているんです。」

 その理由は、最近の移住者の年齢層が若返っていることも影響している。

 「昔は“上がり”じゃないけど都心のマンションを売り払って、こちらで戸建てというケースが多かったので40代、50代以降の人がメインだった。しかし、最近は20代後半から30代の方が増えている。彼らのような若い人は、お金をかけてこだわるところと、そうでなくていい部分のバランスをとって自分らしい家やライフスタイルをクリエートしようという意識が高い。」

 豊かな住環境と教育環境の中、より人間らしく、自分らしく生活しようと考える人が多くなっている――三原さんはそう付け加える。そのような考えを持った比較的若い層が、この地域を選んでいるのだ。
 
 鎌倉/湘南エリアに住む人のバイブルで『湘南スタイル』というライフスタイルマガジンがある。その富山英輔編集長も、鎌倉に居を構える。

 「たしかに生活に重きを置いている人がこの場所にやってくるのは間違いないです。このあたりの人は“家”が生活の中心になっていて、たとえば友達を集める時も家でパーティをするのが主流。どこか外国的なんです。家があって、生活がある。なにかに追われるのではなく、自分のペースを維持する。それが“湘南スタイル”なんだと思います。」

 一方で富山氏は「この地域の特色は昔から変わってはいない」とも。古くは石原裕次郎や加山雄三に憧れて移住してきた古参も、最近移住した新参者も、都会では味わえない豊かな生活を求めて集まってきたという点ではたしかに同じだ。

 「変わった点があるとすれば、そういう考え方に共感できる人が増えたことではないでしょうか。実は今、日本の各地域でも湘南的なライフスタイルを求める人たちが増えているんです。実際、その地域特有の魅力的で豊かな暮らしをしようという動きが活発化しています。日本全国でそういう動きがあるなかで、湘南/鎌倉エリアは最先端の町で、ベストケースなのだと思います。」(富山氏)
 
 失われた20年を経て、今、消費者が求めているのは、物質的な豊かさではなく“精神的リッチ”。それを夢見るだけでなく、実践しようとする感度の高い人が増えている。このように、人生設計においてストレスフリーな生き方を求める人は、湘南だけでなく各地に広がっている。


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