■接種後に起こる副反応 ファイザーとモデルナで差はあるのか?

 徐々に国内の世代の接種も進みつつある中で、「ファイザーとモデルナの違いが気になる」という声も聞く。

 両方とも同じmRNAワクチンだ。どちらも発症と感染をそれぞれ90%以上予防し※、さまざまな変異株でも有効性が確認されつつある。心筋炎を含む安全性も、世界保健機関(WHO)の国際諮問委員会(GACVS)のお墨付きだ。

※2回接種の場合。1回接種でもある程度免疫はつくが、『Nature』誌によれば、インドから広まったデルタ株では2回完了しないと効果が期待できない。遅れてでも2回目の接種を受けてほしい。

 副反応に関しては、どちらのワクチンでも重篤なものは非常にまれだが、細かく見れば頻度に多少の違いはある。

 心筋炎・心膜炎だと、米国ではモデルナ接種者の方が高率で発生している。2回目接種後、ファイザーは100万接種当たり8人、モデルナは19.8人だ。国内でも、発生頻度はモデルナがやや高い。

 さらに、「モデルナ・アーム」という症状を聞いたことがあるかもしれない。モデルナ製ワクチンでまれに、接種部位の腫れがやや長びくものだ。接種から1週間以上たって腫れてきて、多くは4~5日(長いと3週間)で自然に治まる。

 およそ1万5000人に接種が行われた臨床試験(プラセボを含めると参加者3万人超)では、初回接種後に244人、2回目接種後に68人にモデルナ・アームが認められた。他の報告を複数見ても圧倒的に女性に多いが、入院が必要なほどの症例はない。

次のページ
アナフィラキシーの発生率はファイザーが上回る