──疲労はうつの原因になるのでしょうか?

 睡眠不足が続き、慢性的に疲労を抱えた状態が続いたところへ、肉体的・精神的ストレスがかかると、自律神経系のバランスが崩れてしまいます。循環器、消化器、呼吸器、ホルモン分泌などの活動を調整するために24時間働き続けているのが自律神経で、交感神経と副交感神経があり、交感神経は活動時や日中に、副交感神経は安静時や夜に活発になります。

 この交感神経と副交感神経のバランスが崩れると、より一層睡眠の質が悪くなり、不眠または過眠がひどくなります。胃もたれ、腹痛、下痢、便秘、頭痛、めまい、食欲不振、ひどい倦怠感などが生じ、やがてうつ状態に移行していく可能性があるのです。

 一般的に、マジメで几帳面な人がうつ病を発症しやすいといわれていますが、一見豪快な人でも、条件が重なればうつ病を発症します。自分は絶対大丈夫、と思ってはいけないのです。

●次の三連休は夜更かししない! 2週間たっても改善しなければ受診を

──うつ状態が深刻化する前に自分でできることはありますか?

 心身の不調が数日間続く程度なら、十分な休養を取ることで、元の健康な自分を取り戻せるでしょう。正月明けから心身の調子が優れないなと感じたら、できるだけまずは体を疲れさせないように心がけてください。

 朝起きたら、カーテンを開け太陽の光をたっぷり浴びてきちんと朝食をとる。昼食・夕食もできるだけタンパク質、ビタミン・ミネラル、炭水化物がそろった栄養バランスの良い食事にしてください。お酒は疲労をさらに悪化させますので、お酒は休肝日とするか、飲むとしてもたしなむ程度に。そして普段通りの生活がスタートしても、しばらくは残業や休日出勤を極力入れず、飲み会の予定もあまり立てないようにしてください。夜更かしなどはせず、睡眠時間を7時間前後は確保して、規則正しい時間に寝起きすることを心掛けてください。

 また今年は1月11~13日と連休ですよね。この期間は予定を入れず、自宅でゆっくりと休息メインにして過ごしてはいかがでしょう。

 ただし、休養を取っても心身の不調が続くのであれば、もはや自分ではなんとかするのは難しいといえます。一つの目安は、先ほども申し上げたように、2週間以上不調が続くかどうか。この場合は、精神科医や心療内科医など医療の専門家に相談してください。不調の状態に応じて、睡眠薬や抗うつ薬などの薬が処方されることもあります。

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