「君が砂をかいているところも、そうやって見られたいかい?」

「もちろん」とジギーが答えたような気がした。

 確かに今まで意識したわけではないが、船に引っ越してきた当初は特に船室の隅やソファーのクッションを汚されないように、ジギーがトイレで用を足せるように褒め、励ましてきた。

 ありのままに言うと、その時私はトイレットペーパーのロールを手にしていたのだ。ミイラ取りがミイラになってしまったというところか。

 それからというもの、ジギーは毎朝決まって私のトイレをのぞきに来る。
 
 そのうちにシャワーから出てきた私が体を拭く動作の一つひとつも、まるで監視でもするように見に来るようになった。

「隠し事なしに一切分かち合うんだってこと?」
 
 私は笑いながらジギーに言った。

 すると、ジギーは洗面所に飛び込んで、汚れてにおいのする洗濯物の上に寝そべった。
 
 それは毎日、ジギーと二人で楽しむ、たわいない遊びのひと時だった。

 驚いたのは、船上の新入り、ネオとワラスもまたジギーとまったく同じことをし始めたことだ。

“サクランボ”と私が呼ぶ、いつも一緒の仲良し二匹が毎朝、小窓から挨拶をしに来る。

 猫たちにとってはそれが、夜の狩りから戻って日中ソファーの上で眠りこける直前の、すき間時間の習慣になっている。