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第4回 料理をつくって食べて、科学も学べる『ケミ太郎とベジ子の台所サイエンス』

文・加賀見徹

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渋川祥子(しぶかわ・しょうこ)横浜国立大学名誉教授。農学博士。『NEW 調理と理論』(共著、同文書院)、『ケミ太郎とベジ子の 食から学ぶ 理科・社会 台所サイエンス&食の社会科見学』(朝日学生新聞社)など著作多数。小学校の家庭科の教科書の執筆や監修を長く手がける。テレビ番組でも活躍中。

渋川祥子(しぶかわ・しょうこ)
横浜国立大学名誉教授。農学博士。『NEW 調理と理論』(共著、同文書院)、『ケミ太郎とベジ子の 食から学ぶ 理科・社会 台所サイエンス&食の社会科見学』(朝日学生新聞社)など著作多数。小学校の家庭科の教科書の執筆や監修を長く手がける。テレビ番組でも活躍中。

『ケミ太郎とベジ子の台所サイエンス』(朝日学生新聞社)

『ケミ太郎とベジ子の台所サイエンス』(朝日学生新聞社)

ケミ太郎とベジ子の台所サイエンス

渋川祥子(しぶかわ・しょうこ)著/イラスト:加藤末起子(かとう・まきこ)

978-4904826782

amazonamazon.co.jp

 親子で料理をつくって食べて、科学も学ぶことができる『ケミ太郎とベジ子の台所サイエンス』が朝日学生新聞社から出版された。『朝日小学生新聞』に連載されたコラムを編集し、子どもから親まで多くの読者の声にこたえたものだ。

 著者は、人気テレビ番組『世界一受けたい授業』(日本テレビ系列)でもおなじみの横浜国立大学名誉教授、農学博士の渋川祥子さんだ。

 食材をどのような方法で調理するか、実験をもとに科学的なヒミツが紹介されている。毎日、当然のように食事をしているが、食べることで健康な体や心を育てている。人間にとって当たり前だが大切なこと、それが「食」なのだ。

 この本の登場人物は渋川先生とケミ太郎、ベジ子だ。ケミ太郎は小学校5年生の男の子。しっかりもので、ベジ子のたよれるお兄ちゃん。好きな食べ物はカレー(中辛)。ベジ子は小学校2年生の女の子。マイペースで甘えん坊。好きな食べ物は甘いものと納豆。ケミ太郎とベジ子の疑問・質問に渋川先生がやさしく答え、さまざまな料理をしながら一緒に学んでいく。1章の「お料理で季節を感じるサイエンス」は、日本の四季にまつわる食材や料理について、2章の「キッチンでお料理実験」は、調理の「なぜ?」がわかりやすく解説されている。

 「料理というものは理科的な要素があるので、それを理詰めで説明したかった」という渋川さんに話を聞いた。

■食べることの5つの働き

 小学校、中学校、高校の家庭科の教員養成をしているので、もともと小学生にとってどういうことが必要か、どの程度のことがわかるかということを把握していたという。渋川さんは20年以上、家庭科の教科書の執筆や監修もしている。

 小学生とその親に、まずは食というものに関心をもってもらいたかった。今は食が豊かで、あまり苦労をしなくても手に入るが、食べ物のことをきちんと考えなければならない。食材を食べる形に変えるとき、その裏にはさまざまな法則、ルール、栄養的なことがあるのだ。この食材が何からできているのか、どのようにするとおいしくなるのかを理解することだ。つくり方だけを覚えるのではなく、その背景も学ぶことが渋川さんの意図するところだった。

 子どもだけでは危ない部分もあり、親子で料理をすることが前提になっている。食、料理を通して、家庭での親子のコミュニケーションも図れる。決して女の子だけではなく、興味をもつ男の子にとっても良いのだ。調理に性別は関係ない。

 食べることには5つの働きがあるという。

<1>体を丈夫にする。元気に生きる。つまり、栄養のこと。栄養を摂らないと、健康を維持することもできない。

<2>生活のリズムをつくる。体内時計という言葉があるが、体内でも時を刻んで生活をしている。きちんと朝食を食べて一日が始まる。そして昼食、夕食とリズムをつくるペースメーカーなのだ。

<3>コミュニケーションをするための手段。皆で一緒に食べることが大切なのだ。食べるだけではなく、家族のためにつくるのは心を伝えることになる。コミュニケーション機能だ。

<4>材料を入手してそれを料理する。すると、食材に対する関心が高まる。どこで取れるのか、どの国から輸入されたものなのか。地産地消も含めて大切なこと。

<5>食文化を伝える行為。食文化というと、おせち料理やひな祭りのごちそうなどと思われがちだが、それだけではない。私たちがどういう食べ方をしているのか。ファストフードを買って、歩きながら食べる。そういう食文化も、未来に向けて伝えてしまっている。

■料理は科学の世界

 今では日本食は世界的にヘルシーとされている。日本ならではの四季があること、その四季折々の食材の良さを生かしたい。この時期はこれを楽しみましょう、と。これは食の分野だけではなく、日本の文化すべてがそうだ。

 渋川さんは、趣味でおせち料理をつくる。が、すべて手づくりをした方が良いということではない。臨機応変に生活に応じて、既製品を使ってもかまわないのだ。ただ、何から、どうやってつくられているかということを知っているのと知らないのでは大違いだ。

 小学校の家庭科の授業で、ご飯を鍋で炊くことがある。これは、何が起きているのかというその過程を知るためなのだ。お米と水をどうすれば良いのか。硬めが好き、軟らかめが好きといったように人によって好みがある。自分が好きなご飯を炊くためには、お米と水の割合や加熱をどうしたらいいのか、ということがわかれば良いのだ。

 料理は科学の世界でもある。味付けがパーセント表示であったり、分量や時間も、それらを計算することも算数だ。食材がどのようにできているかということで、社会科の勉強にもなる。料理という実験を実際にやってみる。子どもは実験が好きだし、その後には食べ物になるので、なおさらだ。

 生きていくためには、食べなければならない。子どものときの食事が、大人になってからの健康にも影響する。食べ物をきちんと食べることは、健康を保つために大切なことだ。食に興味をもち、料理を通して楽しい生活をおくる。料理は楽しいものなのだから。


『sesame』2013年7月号(2013年6月7日発売)より
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=14977



(更新 2014/1/31 )


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プロフィール

加賀見徹(かがみ・とおる)

 東京都生まれ。朝日新聞社 デジタル本部『朝日新聞デジタル &』編集部所属。監修・著書に『スタイリストになるための練習問題100』(雷鳥社)がある。2012年より『sesame』(朝日新聞出版)で「親子で読みたい本」を連載中。人・物愛好家。幼児教育研究中

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