自然と人為の境界を掘り下げる─神田開主写真展「壁」を見る 〈アサヒカメラ〉|AERA dot. (アエラドット)

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自然と人為の境界を掘り下げる─神田開主写真展「壁」を見る

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「壁」シリーズのプリントから。会場では大型のモノクロプリントが約20点展示される。(C)Akikami Kanda

「壁」シリーズのプリントから。会場では大型のモノクロプリントが約20点展示される。(C)Akikami Kanda

「壁」シリーズのプリントから。(C)Akikami Kanda

「壁」シリーズのプリントから。(C)Akikami Kanda

 静かに変わっていく故郷の景色やその場所性を撮り続けていた写真家・神田開主。新作の写真展が、東京の銀座ニコンサロンで1月20日から開催される。

 神田は自然と人間との「はざま」や、場所と場所を繋ぐ「境界」を探しながら撮影をしている。そうして、生まれ育った北関東の地(埼玉県深谷市~群馬県藤岡市)と向かい合うことで見えてくる風景を、反芻しながら写真におさめてきた。
 ある年の夏、神田の暮らす地域では干ばつが続き、干上がった近隣のダムが連日ニュースに映し出されていた。渇水したダムの姿は神田にとって興味深く印象的に映り、その異様な光景に心惹かれたことが、ダムへと足を運ぶきっかけになった。

「コンクリートの壁に堰き止められ流れを失ったその際には様々なものが流れ着き、深く濁った澱の中に沈み込んでは漂い出る。人の手によって管理される秩序的な壁面側とは対照的にその光景は偶発的かつ流動的で、季節や天候、時間帯の機徴によって様々な表情を垣間見せる」(神田開主・同展に寄せた文章から)

 自然の中に人の手が入ったことで、その場所には新たな秩序が生まれたのではないかと神田は考える。ダムの上から臨むその境界は特異で、見つめていると吸い込まれるような浮遊感を覚える。コンクリートの壁に堰き止められ、行き場を失った水の流れは、さまざまな物をそこに留め、浮かんでは沈んでいく漂流物とともに新たな生態系も育まれている。季節や天候、時間帯によっていろいろな表情を見せるダムの内側は、偶発的かつ流動的であり、壁側とは対照的だ。
 異なる性質のものが隣接することで生まれた「境界」。ダムの内側と壁側との対照性。そこに神田の見ようとする特異な光景が現れている。


神田開主(かんだ・あきかみ)
1986年埼玉県生まれ。2009年日本写真芸術専門学校卒業。2011年同校研究科修了。主な写真展として2009年「真昼の夜空」、2012年「追想の地図」、2014年「地図を歩く」を開催。グループ展に2015年「私はここにいます 9th ―The here in there―」。写真集に『地図を歩く―Northern kanto―』がある。

■神田開主写真展「壁」
会場:銀座ニコンサロン
住所:東京都中央区銀座7-10-1
開催期間:2016年1月20日(水)~2月2日(火)
開催時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
TEL:03-5537-1469


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