また人狼ゲームを楽しむには、これまで触れた10数人のプレイヤー以外に、ゲームマスター(GM)という役割が1人必要になる。GMはゲームの進行役で審判役でもある。昼、夜と続く進行を仕切り、まごつく初心者にやさしくアドバイスしたり、つい熱くなって不規則発言をする人をたしなめたり、ゲームが楽しくスムーズに進むようサポートする。

 このように人狼ゲームが面白いことは間違いないのだが、(1)10数人集める必要があり、(2)集まって遊べる場所が必要で、(3)GM役もいるというように、開催のハードルはなかなか高い。

 次に若者を中心とした人狼ゲームの人気ぶりを見てみよう。ここ5年、人気が高まっているという人狼ゲーム。普及に貢献した1人と言われるのが、人狼ルーム代表の児玉健氏だ。渋谷、秋葉原、巣鴨など都内5カ所でルームを経営、月間約150回の有料ゲーム会を開催している。1回10数人参加として、人狼ルームだけで月のべ約2000人がプレイしている計算になる。「お客さんのボリュームゾーンは20代から30代。中には高校生もいて、大人の社長さんと対等に議論を戦わせています」(児玉氏)。

 盛り上がりは東京だけではない。児玉氏によれば名古屋、大阪、九州など、人狼ゲームを楽しむグループは営利非営利含めて全国に30~40ほど存在するという。また児玉氏は動画サイト「ニコニコ生放送」の番組「アルティメット人狼」に携わり、自身もプレイヤーとして出演しているが、同番組の企画として今秋「全国アルティメット人狼選手権」が開催される。北海道から九州まで7カ所で地方予選があり、約300人がエントリーしているという。

「大学に呼ばれて人狼ゲームの話をしたことがあります。ゲームを知っているか聞いてみると、知っている学生は9割、やったことがある人も8割くらい手を挙げました」(児玉氏)。若者がこぞって見る動画サイトに番組を持っていることも、認知度アップに貢献しているのだろう。

 さてこんな人狼ゲームは、オーバー40にとってどんな魅力があるのだろうか。49歳男性である筆者の体験を報告しよう。8月半ばの夜、私は東神奈川駅にほど近い、とあるヘアサロンで開催された人狼ゲーム会に参加した。主催者はそのサロンを経営する美容師の大石加奈子さん(44)。主催者が40代ということもあってか年齢層はやや高めで、15人ほどの参加者のうち6人が40代だった。

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ゲームも面白いが、印象的だったのは…