「初めて野球に行った日の記憶がスコンと抜けちゃってるんだよな。正確に言うと、球場に行くまでは覚えてるんだよ。池袋にあった球場で、枝豆と2人でバイクに乗って行って『さあ、頑張んなきゃ!』と言って。ところが、たけしさんにあいさつしたあたりから覚えてない。ヒットを打ったのか、きちんと守ってたのか、さらには試合に勝ったのか負けたのか…。全然覚えてない。必死にプレーした感覚だけはあるんだけど。本当にがむしゃらになるとあんなことになるのか…。今でも分かんないんだけどね」
試合後、数日経って、たけしがタカと枝豆のカラオケスナックに突然来店した。「汚ねぇ店だな」「今月中には潰れるだろ」と憎まれ口を挟みつつもにぎやかに飲んでいたが、最後にふと、たけしの表情が変わった。そして一言。「あんちゃんたち、これからどうすんだ?」。
「人数を集めて、面白いことをやってみようと思ってるんだけど、一緒にやらないか?」とたけしが2人に声をかけて始まったのが日本テレビ系「スーパーJOCKEY」だった。
「たけしさんは全部リサーチをする人だから。オレらがしんどい状況ということも分かってスナックにも来てくれた。たけしさんがいなかったら、絶対に今のオレはいない。そして、とてもじゃないけど、オレは弟子をとれない。オレが知ってる師匠はたけしさん。弟子をとるということは、たけしさんのように相手の人生を背負うということだからね。残念ながら、オレには、そんな度胸はないもんね(笑)」
タカのみならず、たけしのカッコいい話はあらゆる人物が語り継ぎ、それこそ枚挙にいとまがない。ただ、タカの振る舞いにも、しっかりとたけしイズムが息づいている。
タカが仕事で大阪に宿泊する際、多くの場合「来週木曜は大阪泊りだから、みんなに声をかけておいてくれる?」と筆者に連絡がある。番組で共演している大阪の芸人やその後輩らを連れて食事に行き、筆者もそこに同席する形だが、これでもかとバカげた話をし、誰よりも後輩芸人の話で大笑いし、何軒行こうが、何人来ようが、支払いは全てタカ。