■マネジャーはローカルCMや地方イベントをチェック

 一方、ゲームがきっかけでスカウトされたのは人気俳優の妻夫木聡(37)だ。

「以前、ゲームセンターに『スタアオーディション』というタレントの適性テストができるアーケードゲームがあったんです。このゲームと連動した『超ビッグオーディション』というオーディションイベントが開催されたのですが、参加者約300万人の中から選ばれ、第1回のグランプリに選ばれたのが妻夫木なんです。トントン拍子で残ってしまい、今の仕事をすることになったと主演映画のイベントで話していたことがあります。『500円で仕事を見つけました』と笑っていたのが印象的でした」(前出の編集者)

 ほかにも、個性光る演技が魅力の濱田岳(30)は9歳のときに東京ドームでの野球観戦後、朝の連続テレビ小説「半分、青い。」(NHK)でヒロインを務める永野芽郁(18)は小学3年生のときに吉祥寺の商店街の靴屋でスカウトされた。劇場アニメ「君の膵臓をたべたい」で初声優を務める和久井映見(47)は、オープンしたてのディズニーランドでスカウトマンの目にとまり、芸能界への道を開いた。

 芸能人のデビューのきっかけやスカウト事情について、芸能リポーターの川内天子氏はこう語る。

「実は今も昔も芸能人のデビューの仕方はさほど変わっていません。ひとつは全国津々浦々まででかけて行き、とにかくかわいい子を探し出す方法。『そこそこに美少女がいる』という噂を片っ端から収集し、現地まで赴いてスカウトするんです。また、地方局で所属タレントの仕事がある場合、マネジャーはローカルCMや地元のイベントをチェックし、そこに出ているいい子がいればすぐ動くといった具合です。一方、大手事務所は自社オーディションを開催し、そこに集まってくる子たちを芸能界入りされる手法が多い。応募してくる子は『芸能人になりたい』という子なので、何かしら“持ってる”子が多いですね。オーディションで優勝しなくても、2番手、3番手でいい人材がいることも多い。こうしてみんな、芸能界デビューしていくんです」

 原石を見つけ出す、スカウトマンたちのすごさには改めて驚かされる。と同時に、そのチャンスを確実にモノにした人気タレントたちの強運にも驚くばかりだ。(ライター・高梨歩)

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