――事故を防ぐために、事前にできることはあるのでしょうか。

 何よりもまず、ライフジャケットを着ることが大事です。最近は安く手に入るようになっていますし、アウトドアブランドから子ども用のオシャレなライフジャケットも出ています。水に入ったときに身体が抜けてしまわないよう、一度正しい着方を練習してみてほしいですね。

 そして、ライフジャケットが無い場合でも、浮いていれば助かるんだということを親子ともに知っておいてほしいのです。私たち水難学会が提唱している「背浮き」は、仰向けの状態で鼻と口の呼吸器官を水面から上に出して浮く方法です。水の比重は1、人間は息を吸うと0.98になります。そのため身体の2%の体積が水から出て、浮くのです。

 学会には消防士が多く所属していますが、その理由は救助隊が到着するまで沈まずに少しでも長く浮いていてほしいからだそうです。それによって救うことができる命が増えるのです。

――背浮きをするためのポイントは。

 ポイントは息を吸うこと、そして両腕をバンザイして、あごを上げます。腰が曲がって「くの字」にならないよう、おへそを突き上げて背筋を伸ばすようにしましょう。

 水難学会の全国2千人の会員が学校や地域の市民プールなどで指導していますが、コツさえ掴めば難しいことではありません。川や海で遊ぶ前に親子で水に入り、背浮きで浮く練習をしてみてください。子どもでも、できるという自信があれば不意に水に落ちたり、深みにはまったり、水泳中に足がつったりしても、パニックになるのを避けられます。周囲の人は「浮いて待て」と声をかけてください。

 着衣のまま水中に落ちるケースが多くあります。教室で履くゴム底の上履きを除き一般的な運動靴は底が浮く素材でできていてるので、脱がすに履いておくほうがいいです。服も、服と身体の間にある空気が浮力になります。

――昔、学校で習った着衣泳では服を脱ぐようにと教えられた覚えがあります。

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「溺れたら大声で助けを呼ぶ」では沈む