子どもの水難事故は川での水遊び中が多い。防ぐ方法は?(※写真はイメージ)
子どもの水難事故は川での水遊び中が多い。防ぐ方法は?(※写真はイメージ)
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背浮きのコツ(田村祐司さん提供)
背浮きのコツ(田村祐司さん提供)
背浮きを指導する水難学会理事の田村祐司さん(撮影/金城珠代)
背浮きを指導する水難学会理事の田村祐司さん(撮影/金城珠代)

 夏休み中、海や川で起きた水難事故のニュースが報じられることが増える。子どもたちが水辺で遊ぶ機会が増える時期に、大人が知っておくべきことは。東京海洋大学准教授で水難学会理事の田村祐司さん(海洋スポーツ健康教育学)に聞いた。

【イラスト】大声で助けを呼ぶのは危険!? 背浮きのコツを解説

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――まず、事故の傾向や危険な場所などを教えてください。

 水難事故による死者・行方不明者は1989年には1500人もいましたが、海水浴客が減少したこともあり年々減少しています。近年は800人前後だったのですが、2017年は137人減り679人となりました。徐々に減ってはいますが、依然、多くの方が水辺レジャー中に命を落としています。その半数を65歳以上が占め、高校卒業~65歳未満の人が約4割です。場所別にみると、海が最も多く384人(56%)、川が174人(25.6%)。行為別だと魚釣りが219人(32.3%)、水遊び61人(9.0%)、水泳が47人(6.9%)でした。

 ただ、中学生以下の子どもだけに注目するとこの傾向は大きく変わります。26人の死者・行方不明者のうち半数以上の17人(65.4%)が「河川」で、約半数の12人(46.2%)が「水遊び」中でした。

――川や海で誰かが溺れたとき、どのように対応すればいいでしょうか。やってはいけないことがあれば教えてください。

 特に子どもが溺れてしまった場合、親御さんはすぐに飛び込んで助けたいと思うはずですが、それは非常に危険です! 溺れた人はわらをも掴む思いで抱きついてくるので、一緒に溺れてしまいます。それは相手が子どもであっても同じです。素人1人で救助はできないものだと覚えておいてください。溺れてしまったらすぐに119番通報し、身の回りにある浮くものを投げてあげましょう。

 浮輪が無くても、レジャーの場によくある大きな空のペットボトル、サッカーボール、スナック菓子の袋や発泡スチロールの箱などは抱えると浮くことができます。登下校中なら、身近にあるランドセルや本も浮きます。普段から何が浮くのか、探してみてください。

 そして、溺れた人には浮いて待つように声をかけ、落ち着かせてあげることです。

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事故防止のために親ができること