「家事手伝い」「主婦」という肩書きがあるがゆえ、内閣府の統計から漏れていた既婚女性のひきこもり。その実態が、当事者団体である「ひきこもりUX会議」の調査で明らかになった。回答した143人の女性うち、既婚者は4人に1人。中でも、専業主婦(配偶者と同居し、収入がない人)がひきこもるようになった原因は、コミュニケーション不安(81%)、精神的な不調や病気(75%)、家族以外の人間関係(66%)だった。
【調査結果】夫以外の接し方がわからない…“既婚女性”のひきこもり実態
リョウコさん(仮名、45歳)もひきこもり主婦の一人。高校を卒業後に就職した建設会社でいじめを受け、結婚・退職後は自宅にひきこもるようになった。躁うつ状態も経験し、27歳のころに出産。子育てに追い詰められた彼女を救った人とは。不登校新聞の編集長、石井志昂さんが聞いた。
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――「ひきこもり歴が21年」というリョウコさんですが、そのきっかけはなんだったのでしょうか?
25歳で退職したのを機にガクッときたのが直接のきっかけでした。
私は高校卒業後、すぐに建設会社に就職しました。就職したのは1990年。87年に男女雇用機会均等法が施行され、女性にも門戸が広がり始めた時期でした。私自身も「仕事さえできれば上がっていける」と感じていたときです。
ところが私は「歓迎されない新入社員」でした。入社前のあいさつ時、事務員の女性から「私、あなたには入ってほしくない」とも言われました。私も若かったので「そんな人もいるよな」と思っていましたが、かなり多くの社員がそう思っていたみたいです。
私への嫌がらせは露骨でした。
書類ミスがあれば私だけは最初から書き直しを命じられたり、わざと負担の大きい仕事を押し付けられたりしていました。「どこの馬の骨のやつかわからないから信用できない」とも言われ、社内で出回る「結婚できなさそうな人ランキング」という番付表ではいつも1位。あからさまにバカにされることも多かったです。