「私たち、結婚しました!」――続けて届いた2通の結婚報告はがき。お葬式に参列することのほうが増えていたというのに、まさか同年代である50代の友人から結婚話を聞かされるとは。もしかして、と調べたところ、ここ20数年で50歳前後の結婚増加が判明。総数から見れば少ないものの、“50歳からの結婚”が増えていることは間違いないようだ。連載「50歳から結婚してみませんか?」では、結婚という大きな決断を50歳で下すことになった5人の女性の本音とリアルに迫る。第5回は、2度の乳がんを乗り越えて48歳で結婚し、人生の新たな扉を開いた小田美代子さん(仮名・54歳・会社員)の場合をお届けする。
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最初の乳がんが見つかったのは37歳のとき。右の乳房に違和感を覚え検査したが、結果は「異常なし」。ほっとしたのも束の間、そのわずか1カ月後、会社の健康診断で異常が見つかった。
「1カ月前の検査では問題がなかったと伝えたんですが、それでも専門病院での検査を強く勧められました。でも、このときは、まだそれほど不安は感じてなくて、数日後、軽い気持ちで受診しました」
結果は乳がんの疑い。すぐに細胞検査を受けたが、判定がグレーゾーン(判定不能)だったため、さらに詳しい検査に。ところが2回目も、3回目も、さらに4回目もグレーだった。
「こうした例はあまりないようで、担当医が乳がんの権威である先生に紹介状を書いてくれて、がん専門病院でさらに詳しい検査をすることになりました」
この間、約3カ月の時間を要した。
「度重なる検査と結果待ちに生きた心地がしませんでしたね。その間も不安を取り除くためにさまざまな医学書を読みましたが、かえって不安は増すばかり。心身ともに疲れきっていましたが、そんなときでも『結婚していればよかった』とは思わなかった。それよりも、つき合いの長い信頼できる女性の友人たちが頼りでしたし、相談にのってもらいました」
検査結果が出る日は、さすがに前日から眠れなかった。