自分とは何か。過去の記憶とどう向き合い、未来に何を願うのか。

「私たちは、そして君たちはどう生きるか」という、まさに、漫画化され話題となった80年以上前の児童文学『君たちはどう生きるか』に通じる強いメッセージを感じます。

 作品を通じて一番読者に伝えたかったことは、「君たちは愛されているんだよ」ということ。

「あらゆる親に代わってね、愛してると言ってあげたい。ここでは、みんな何かを大事に思っています。実際にはね、大事に思わないことや人も多いでしょう。でも、それはね、とても悲しいこと。何かを大事に思うっていうのは、いいと思うんですよね、ぼくは」

<小学生記者の感想>
◆死んだ人の魂を大切に感じることや親は子どもを愛していると思うなど、高橋さんとぼくは大切に思うことが同じ。現実社会とファンタジーの両方をえがき、大切なことを伝えている。(東京・3年)
◆読むたびに新しい発見があって、自分でも気づかなかった気持ちに気づかせてくれる作品。作者の高橋さんの気持ちがこめられている。(神奈川・6年)
◆印象的だったのは、ミレイちゃんを過去に連れていくリングの役割。目が見えない犬にこそ見える優しい心は、いろんな人を幸せにできると感じます。ミレイちゃんとリングが出会うのも、優しさと関係があるのかな。(神奈川・5年)
◆私もタイムスリップしてムネヒコさんに会いにいき、あなたのお話が日本のみんなに読まれていますよ、と伝えてあげたい。(神奈川・5年)

「本が好き」。その共通した思いで、一冊の本について熱く語り合った5人。

 小学生記者からは「ここは読者を信用して考えさせてもいいかも」「もっとここの部分を長く書いてほしかった」などのアドバイスも飛び出しました。その一つひとつに優しく真摯に答えながら、ときには高橋さんからみんなに質問する場面も。

「するどいつっこみにたじたじです。子どもは、大人の批評家よりこわい」。高橋さんは笑いながら、そうもらしました。

「高橋さんが伝えたかったことをしっかり忘れずに生活していきたい」。参加した一人はそう話しました。

 本を通じて高橋さんが蒔いた種は、読者一人一人の心の中で芽を出して、やがて花を咲かせるだろう。本が、言葉が人をつくる。本の力を感じました。(朝日小学生新聞・谷ゆき)

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