―日本人は何でも許せるんだね


許せることはいいことかもしれないけど
許してはいけないこともあるんだよね
日本人は本気で怒れないんだね
怒らないのはいいことだけど
本気で怒らなければいけないこともあるんだよね
そうしないと、国が壊れちゃうんだよね―

 本当に、日本という国が壊れてしまうのではないか。海外の友人も心配するほどの深刻な状況だということだ。

■新潟県知事選敗北に危機感を持てない野党

 こうした日本の政治状況を端的に表す「事件」が起きた。6月10日投開票の、新潟県知事選で、自公が推す花角英世候補が勝利したのだ。地方では自民が強いから驚きではないと思う方も多いだろうが、この選挙は、野党にとっては、絶対に勝たなければならない選挙だった。なぜなら、今回の選挙では、野党有利の条件が、これ以上ないというほどそろっていたからだ。その選挙で勝てなかったのだから、野党にとって、これは衝撃のはずだ。

 そもそも、新潟は、昨秋の衆院選で野党が6小選挙区で4勝という全国でも珍しい野党優勢県だ。前回知事選では、連合と民進党(当時)が野党候補の米山隆一氏を推さなかったが勝利した。いわば、片翼飛行での勝利だ。一方、今回は、野党6党・会派が共闘した。前回よりもはるかに態勢が強化されたのだ。さらに、保守層に大人気の小泉純一郎元首相が新潟入りし、野党候補の池田千賀子氏を事実上応援した。

 それに比べて、モリカケ疑惑で自民党は不人気の極致だった。新潟入りした自民党幹部は街宣もできず、花角候補は、ひたすら自民色を消すことに必死だった。沖縄県名護市長選で破壊的威力を見せつけた、自民党の切り札、小泉進次郎議員が新潟県連の再三の要請にもかかわらず、応援に来なかったのも野党にとっては願ってもないことだった。

 さらに、浮動票がどの程度増えるかという観点で注目を集めた投票率も、事前予想に反して前回を5ポイントも上回った。もちろん、これまでの常識では、これは野党候補に有利な材料だ。

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