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モリカケ問題などで、安倍内閣支持率は、一時、第2次安倍政権成立後最低を記録した。その後も共産党が、財務省内で文書公開を巡って恣意的な選別を行ったり、官邸から法務省に影響力が行使されていることを示唆する文書の存在を暴露したりしていて、まだまだ火種は尽きない。また、文書がない、あるいは真偽不明などという話から、結局あったという展開になることも十分ある。かなり危うい状況だ。
一方、安倍総理の武器と言われる外交では、日米首脳会談もG7サミットも不発に終わり、安倍総理の最大の庇護者であるはずのアメリカからも厳しい通商の課題を突き付けられてしまった。北朝鮮問題では、関係6カ国の中で、唯一置き去りにされるなど、徐々に、その戦略に対する不信感が国民の間に醸成されつつある。少なくとも外交で起死回生の一打とはなりにくい状況だ。
こうした八方塞がりに見える状況にもかかわらず、世論調査では、安倍内閣支持率は下げ止まり、上昇の兆しすら見せ始めた。国会は32日間の延長が決まり、安倍政権は、主要法案をすべて今国会中に成立させる強硬策に出ている。野党が反対するだけでなく、世論調査でも今国会中の成立に反対の声が強い「働き方改革法案」や「カジノ法案」も、このまま行けば、「強行採決」も含めて成立させる準備は万端整ったように見える。
さらに、秋の総裁選での安倍3選はほぼ決まりだというのが政治部記者たちの見立てである。
「こんなことがあってもいいのか」「日本の民主主義はどうなったのか」「どうしてこうなるのか、理由がわからない」「このままでは、終わってしまう」という声が、野党や安倍批判を展開する識者から聞こえてくる。さらに、「もう駄目だね」「もう終わってるんだよ」「疲れたよ」という諦めの声さえ漏れ始めた。
ある韓国人の友人は、私にこう言った。「これだけ酷いことをされたら、韓国では政権に対する批判が一気に高まって、ローソク革命のような民衆の反乱が起きるのに、どうして日本では何も起きないのだろう」
本当に不思議なことだと言いながら、その友人は別れ際にこんな言葉を残して韓国に帰国した。