4年前のブラジル大会でも旋風を巻き起こしたコスタリカ (c)朝日新聞社
4年前のブラジル大会でも旋風を巻き起こしたコスタリカ (c)朝日新聞社
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 6月14日から開幕するロシアワールドカップ。大会前はドイツやブラジルなどの優勝候補に注目が集まりやすいが、必ずと言っていいほど躍進する“ダークホース”が出現するのもまた、ワールドカップの醍醐味のひとつだ。

 前回はコスタリカがイタリア、ウルグアイ、イングランドと同居して“3強1弱”とも揶揄されたグループを首位で突破し、さらにギリシャを破り、準々決勝ではオランダとPK戦までもつれ込むという大躍進を果たした。そのコスタリカは今大会も再度、台風の目になるポテンシャルを備えている。

 監督は当時のホルヘ・ルイス・ピントからオスカー・ラミレスに代わったが、5-4-1を基本フォーメーションに、徹底して堅守速攻を狙うスタイルは変わらない。そこにレアル・マドリード(スペイン)の守護神として欧州チャンピオンズリーグ3連覇を支えたケイラー・ナバスやキャプテンでエースのブライアン・ルイス(スポルティング/ポルトガル)など前回大会メンバーのさらなる経験が加わり、迷いなき戦いで強豪国に挑んでいくはずだ。

 コスタリカの強みは守備と攻撃の一体感であり、守備から攻撃、攻撃から守備の切り替えが驚くほどスムーズであることだ。守護神ナバスを後ろ支えに、前回経験者の1人であるジャンカルロ・ゴンサレス(ボローニャ/イタリア)が5バックを統率する。その手前でダビド・グスマン(ポートランド/米国)、セルソ・ボルヘス(デポルティボ/スペイン)の2人がボールの回収と運用を行い、左右ウィングのルイスとクリスティアン・ボラーニョス(サプリサ/コスタリカ)が鋭い縦の仕掛けに持ち込む。

 前線の中央に張るマルコ・ウレーニャ(ロサンゼルス/米国)は国際的にあまり知られていないが、前からのディフェンス、ポストプレー、フィニッシュと高い総合力を持つ本格派のFWであり、前回大会は控えだったが、より中心的な存在として躍進の原動力になる可能性が高い。

 E組の相手はブラジル、スイス、セルビアで全て強豪だが、コスタリカのディフェンスは彼らを大いに苦しめるはず。テーマは、そこからいかに点を取るかになる。セルビアは個人の力量はコスタリカより明らかに上だが、組織に隙が生じやすい。また、スイスは守備を固められると攻めあぐむ傾向がある。ブラジルは最大の難関だが、ワンチャンスにかける戦いがはまれば勝機もゼロではない。現実的には初戦のセルビアから勝ち点3をもぎ取り、ブラジル、スイスには引き分けでもOKに持っていきたい。

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