もう1人、2トップの候補として挙げたいのが永井謙佑だ。現在は技術委員長を任されている関塚隆氏が監督を務めた12年のロンドン五輪でスペインを撃破する立役者となった快足FWは、ハリルホジッチ前監督が就任してすぐの15年3月に代表選出され、夏の東アジアカップでもメンバーに入ったもののアピールに失敗して代表から遠ざかっていた。

 しかし、昨年から所属するFC東京に長谷川健太監督が就任すると、2トップで起用され、ディエゴ・オリベイラとのコンビで抜群のスピードと運動量を発揮。チーム内での役割が整理されているためか、状況判断やフィニッシュにも改善を見せている。すでに29歳と若くはないが、明らかな特徴があるだけに、輝きを取り戻した2トップで再び世界を相手にひと暴れできる状態にある。

 ベースの部分を簡単に変えられないDFラインや中盤と違い、FWは調子のいい選手を優先して選び、起用するのも1つの有効な手段だ。このタイミングでチームを率いることになった西野監督でもあるだけに、これまでの貢献度や実績だけにとらわれず、コンディションや組み合わせを見極め、考え得るベストのチョイスを見いだしてもらいたい。(文・河治良幸)

●プロフィール
河治良幸
サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書は『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)など。Jリーグから欧州リーグ、代表戦まで、プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHKスペシャル『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才能”」に監修として参加。8月21日に『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)を刊行予定。

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