日本医労連の森田しのぶ中央執行委員長は、「女性の比率が高い職場ほどマタハラが起こりやすく、人手不足が大きな原因となっている。マタハラを防ぐためには妊娠・出産・育児をしながら働く人員を予測し、あらかじめ代替となる職員を雇って育てる必要がある。一方で、病院の収入源となる診療報酬は、あくまで病棟に配置される看護師の数によるため、働き方を考えた余剰人員を抱えると経営に響いてしまう。いち医療機関の力には限界があり、国がきちんとライフステージに合った働き方を保障する制度を作る必要がある」と指摘する。

 患者の命を預かる看護師自身に授かった命が危険にさらされるようでは、看護師不足は解消されず、患者を守ることなどできなくなる。5月12日は、フローレンス・ナイチンゲールの生誕日にちなんだ「看護師の日」。普段は見えにくい看護師の働き方を考えるきっかけにしてはどうだろうか。

●プロフィール
小林美希(こばやし・みき)
1975年茨城県生まれ。神戸大学法学部卒業後、株式新聞社、毎日新聞社『エコノミスト』編集部記者を経て、2007年よりフリーのジャーナリスト。2013年、「『子供を産ませない社会』の構造とマタニティハラスメントに関する一連の報道」で貧困ジャーナリズム賞受賞。近著に『ルポ 保育格差』(岩波新書)。

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