世界初の偉業を達成した岩谷選手だが、たびたびけがに悩まされてきた。16シーズンは右ひざのじん帯を断裂、手術を受け、17シーズンの途中で復帰した。岩谷選手は「チームのみんなに申し訳ない気持ちや、遅れているなという焦りがあった」と当時の思いを語る。

 しかし、練習できない間に読書したり、考えたりしたことが、17シーズンの飛躍につながった。これまでは、練習での調子の良し悪しを引きずって試合に臨むことが多かったが、ある本に書かれていた「試合では3割打てば天才バッターだが、打席の中では5割しかない」という言葉に出合い、打席で吹っ切れるようになったという。

「練習での調子が悪くても試合で切り替えられるようになり、もし打てなくても、次の打席で打つためにどうすればよいかと考えるようになりました」(岩谷選手) 打席での集中力が上がり、17シーズンは安打を量産した。

 18シーズンは心機一転、京都フローラに移って主将を務める岩谷選手。「キャプテンになると成績を残せないというジンクスのようなものを壊したい。期待されている部分もあると思うので、去年以上の活躍ができれば。フローラは若手が多いので勢いがあります」とさらなる活躍を誓う。

 その言葉通り、京都フローラは3月24日のヴィクトリアシリーズ開幕戦以降、4月2日まで負けなしの4連勝。岩谷選手も打率.417、5打点と勝利に貢献する。今季の岩谷選手にも期待したい。(ライター・南文枝)

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