2001年に阪神に在籍していたエドゥアルド・ペレスは、メジャーでは主に控えだったとはいえ13年間もプレー。その父親は「ビッグレッドマシン」と呼ばれた70年代のレッズで主力打者として活躍し、後に殿堂入りも果たしたトニー・ペレスだ。

 現役で活躍する選手にも父親がメジャーリーガーだった選手はたくさんいる。昨季に39本塁打を放ってナ・リーグ新人王に輝いたコディ・ベリンジャー(ドジャース)の父クレイはヤンキースなどで内外野をこなすユーティリティープレーヤーだった。

 盗塁王3回、シーズン200安打以上を2回の俊足巧打を誇るディー・ゴードン(マリナーズ)は、レッドソックスなどで通算158セーブを挙げたトム・ゴードンを父に持つ。昨季にブリュワーズで31本塁打、101打点とブレークしたトラビス・ショーの父親も、レッズなどでクローザーとして活躍して通算203セーブを挙げたジェフ・ショーだ。

 ちなみに、ドジャースやヤンキースでメジャー通算79勝を挙げた黒田博樹も二世選手。父の一博は南海(現ソフトバンク)などで内外野をこなしながら通算777試合に出場した。

 なぜメジャーでは親子選手が多く、日本では少ないかというと、これは単純にプロ入りする人数が圧倒的にアメリカの方が多いという事情がある。

 さらに、日本ではプロアマ協定によって親子といえどもプロ選手が表だって指導できなかったのに対し、メジャーでは子供のころからメジャーリーガーの子供たちが父親に連れられてグラウンドに入ることも珍しくない。こうした環境なら自分も父のような野球選手に、と息子が思うのも自然な成り行きだろう。

 とはいえ、メジャーリーガーというのは父親のコネだけでなれるものではない。ましてや成功を収めるとなればなおさらだ。偉大な父の背中を追いかけて夢をかなえた子供たちは、やはり非凡な孝行息子なのである。(文・杉山貴宏)

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