しかしながら、サンドバルは移籍1年目の15年に126試合出場で、いずれもキャリアワースト(8月にメジャーデビューの1年目除く)の打率.245、10本塁打、47打点どまり。翌16年は開幕直後に故障離脱して3試合で7打席しか立てなかった。
業を煮やしたレッドソックスは、5年契約の半分しか消化してない17年7月にサンドバルを解雇した。もちろん、残りの年俸を全額支払う義務があるのは承知していたが、大金をどぶに捨ててでもサンドバルをお払い箱にしたかったのだと言えば、怒りと失望のほどが分かるのではないだろうか。
サンドバル同様に金銭的な負担を飲み込んでも、チームが“不良債権”を追い出したという不幸な結末に至ったケースはほかにもある。
12年オフに5年1億2500万ドル(約105億円)の契約を結んだジョシュ・ハミルトン外野手とエンゼルスだ。プロ入り当初から抜群の才能と薬物依存で話題を集めていたハミルトンは、紆余曲折を経てメジャーリーガーとして開花。12年にはレンジャーズでキャリアハイの43本塁打を放った。
ところが、エンゼルス移籍1年目のハミルトンは21ホーマーと成績が急下降。翌年は故障もあって、89試合の出場で10本塁打にとどまり、2015年も開幕前に肩を手術。しかも、コカイン摂取の報道を巡り、エンゼルスとの関係は修復不可能なまでに悪化した。最終的にエンゼルスは、同年4月にハミルトンを古巣のレンジャーズへトレード。この際にエンゼルスは残されていた8000万ドル以上の年俸の4分の3近くを負担する条件を飲んだ。
通常ならば、獲得した側がほぼすべての契約を引き継ぐものだが、こうまでしないとトレードがまとまらなかったことは容易に推察できる。ちなみに、ハミルトンは、レンジャーズ復帰後も故障続きで16年からはメジャーでの出場機会もなく、17年の開幕直後に解雇されている。
ほかにも、大型契約に見合った成績を残せなかった例は多い。かつて楽天で活躍した「AJ」ことアンドリュー・ジョーンズは、07年オフに2年3620万ドル(約41億円)という単年計算ならば十分に高額といえる契約をドジャースと結んだ。しかし、1年目は故障もあって75試合しか出場できず、わずか3本塁打。2年目の開幕を待つことなく退団となった。