国会が空転するなど連日、論議されている森友学園への国有地売却に関する決裁文書“改ざん”問題。財務省への包囲網が強まっている。
【資料写真】これは文書“改ざん”の痕跡? 疑惑の3つの決裁文書の違いはこちら
自民党の二階俊博幹事長が政府に対し、資料などを速やかに国会に提出するよう昨夜、要求していたにもかかわらず、渦中にある財務省の対応はまたも「肩すかし」だった。
「原本のコピー」とする文書を8日、参院予算委員会の理事会に提出したものの、このコピーは昨年に国会に提出した文書と文言が同じものだった。
朝日新聞によると、2015~16年に財務省近畿財務局が学園と土地取引をした際に作った文書と、昨年2月に問題が表面化した後に財務省が国会議員に開示した文書の一部が異なり、当時の文書にある「特例的な内容となる」「価格提示を行う」などの文言が開示文書から消えていたという。
野党はこの日も朝日が指摘した改ざん前の文書が存在するのかを問いただし、「他に文書が作られていないと明言してほしい」と財務省に迫った。
だが、財務省の富山一成理財局次長は「調査は継続中」と繰り返し、書き換え文書の有無については最後まで答えなかった。
さらには毎日新聞(8日付夕刊)が、財務省が国会に提出したものとは別の決裁文書にも「本件の特殊性に鑑み」「学園に価格提示を行う」と、朝日が報じた表現と似た文言があったと指摘した。この文書は近畿財務局が森友学園や国土交通省大阪航空局に売却の方針を通知した際のもので、近畿財務局への情報公開請求で入手したという。国会に提出された決裁文書になかった表現が、またもや明らかになったことで疑惑はさらに深まった。
民進、共産、立憲民主などの野党は「説明が一ミリも進んでいない」と反発。その後の予算委集中審議への出席を拒否した。
立憲民主党の福山哲郎幹事長はこう訴えた。
「今日の文書は与党の厳命で提出しろと言われたものであり、与党の面子も潰されたといわざるを得ません。与野党が参議院予算委員会で一致して、国会法104条に基づく資料の要求を政府に求めるべき」
ある官僚はこう話す。