同年6月20日の横浜戦(横浜)、1点を追う阪神は9回、先頭の新庄剛志が佐々木主浩から左中間にホームラン性の大飛球を放った。


 
 起死回生の同点弾と思われた次の瞬間、まさかのハプニングが起きる。左翼フェンスを越えるかに見えた新庄の打球は、なんと、左中間席最前列で阪神ファンがグラウンドに突き出すようにして振り回していた応援旗に包まれ、そのままグラウンドにポトリ。しかも、応援旗は皮肉にも新庄自身のものだった。

 田中俊幸球審が「二、三塁の塁審にオーバーフェンスでないことを確認した。旗に巻きついた時点でボールデッドとなり、ツーベースとして試合を再開します」と説明すると、同点弾だと信じて疑わなかった阪神ファンが激怒。グラウンド内にメガホンやビール、鉄製のゴミ箱などを投げ込んだため、試合は8分間中断した。

 無死二塁で再開された試合は、次打者・久慈照嘉の内野安打で一、三塁とチャンスを広げたものの、あと一打が出ず、3対4でゲームセット。幻の同点弾が悔いを残す結果に……。

 旗を振っていた21歳のフリーターは「打球はフェンスより上だったと思う。つらいです」とションボリ。

 新庄も「入った、入らないは、もういいです。僕の応援旗というのも知っていた。応援はうれしいけど、攻撃のリズムを中断されては……」と困惑の表情だった。

 この事件を機に横浜スタジアムでは、“旗迷惑”な行為としてインプレー中の旗振り応援が禁止された。

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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