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 少子高齢化が進む日本で、今後、医療の現場はどう変わっていくのか。AERAムック『AERA Premium 医者・医学部がわかる2018』では、産業医の大室正志医師に、医学部を志望する学生に向けて「これから求められる医師像」を示してもらった。

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「医学部を志望した理由は?」

こんな質問に対し、医療漫画や医療ドラマの影響を口にすることは、ある意味「鉄板」です。

 しかしフィクションで描かれた「カッコいい医師」がこれから激減すると言ったら、医学部志望の皆さんはどう感じるでしょうか。

 私が医学生だった時、神経内科の病院実習に教授の先輩で今は開業されている外部講師が招かれたことがありました。その年配の先生は打腱器でトントンと患者さんのさまざまな部位をたたきながら、腱反射を見て次々に疾患を言い当てていきます。当時の私はこのような熟練を要する「匠の技」にすごいなぁと素直に感心したことを覚えています。

 一方で、その年配の先生の言い分には気になる部分もありました。「最近の若い医者は画像ばかりに頼って、打腱器の訓練をおろそかにしている」

 と。このような趣旨の発言はその後の循環器内科の実習中にも聞きました。

「最近の若手は心エコーばかりに頼って、聴診器での聞き分け能力が低下している」

 これらの発言にはうなずける部分もある半面、違和感を覚えたのも事実です。

 患者さんの立場から見たら、打腱器だろうがCTだろうが何を使おうと関係ないではないか。治療という目的を前にした場合、「医療機器」も「熟練の技術」も手段でしかない。むしろ目指すべきは、熟練度によって診断レベルが変わってしまう医療ではなく「誰が行っても同じ結果になる医療」ではないかと。

 この思いは今でも変わりはありません。むしろその実感は年々強まってきています。

■多忙を理由に患者を遠ざけた医師の存亡

 かつてミュージシャンになるための条件は「譜面が読めること」と、ピアノやギターなど何か一つ「楽器が弾けること」でした。しかし現在のポピュラー音楽の世界では譜面が読めず、楽器が弾けないミュージシャンが多数存在します。現在ではシーケンサーやリズムボックスなどのソフトウェアを使えば音楽自体は比較的簡単に作れてしまいます。つまり楽器を弾くことは、音楽作成方法として「選択肢の一つ」になったのです。

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