50年以上も役者を続けている市原悦子さん。76歳になった今なお、「2時間ドラマ視聴率女王」として主役をはり、舞台で歌い、演じる。これまでの女優人生を振り返り、83年に始まった人気テレビドラマ「家政婦は見た!」について語った。

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「家政婦は見た!」も25年続きました。松本清張さんの「熱い空気」という短編小説が原作。もともとは単発で終わるはずが、視聴率がよかったのでしょう、シリーズ化されました。

 長く続くのはありがたいことですが、シリーズ物はワンパターンに陥らないよう、毎回いかに新鮮にもっていくかに腐心します。私がいちばん嫌うのはマンネリ化。先が読めない、この後どうなっていくんだろうというスリリングなドラマ性が好きなのです。わかってしまうようでは、見ていても演じていてもおもしろくない。舞台ではなおのこと、同じ台本で1カ月も上演するわけですから、芝居の鮮度が保てるかどうかは役者の仕事、力量にかかってきます。そこが苦労であり、役者としてのだいご味だと思います。

 けれども"偉大なマンネリ"といえるものもあります。何度見てもおもしろい、すぐれたパターン化もいいものです。25年間も続いた「家政婦は見た!」は、まあ、スタッフのみなさんと苦労を重ねて続いた、大きな仕事でした。

※週刊朝日 2012年9月28日号

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