元ソフトバンクの松坂大輔 (c)朝日新聞社
元ソフトバンクの松坂大輔 (c)朝日新聞社

 1月に入り、球界では新入団選手の入寮、自主トレのニュースが連日のように報道される季節となった。即戦力が期待できる選手や清宮幸太郎(日本ハム)のような大物ルーキーはキャンプインしてからも高い注目を集めることは間違いない。しかし、そんな輝かしい未来を期待される選手がいる一方で、今シーズン成績を残せなければ引退の可能性が高い選手も少なくない。そこで今回はそんな崖っぷちの選手について触れたい。

 かつてプロ野球界の一大勢力だった「松坂世代(1980年度生まれ)」の選手たち。今月、中日がテストを行うことが発表された松坂大輔本人以外にも岐路に立たされている選手が多い。投手で真っ先に名前が挙がるのが杉内俊哉(巨人)だ。2015年に野球選手としては前例のない股関節の手術を受けて長期離脱し、昨年は春先に二軍戦で復帰したものの今度は左肩を痛め、そのまま復帰できずにシーズンを終えた。最多勝と最優秀防御率を各1回、最多奪三振を3回受賞し、通算142勝77敗という成績は見事だが、故障の程度が大きいだけに復活への道のりは簡単なものではないだろう。

 故障との戦いという意味では館山昌平(ヤクルト)を忘れてはいけない。2008年から5年連続で二桁勝利をマークし、右のエースとして活躍していたが、それ以降は故障の影響で成績が低下。昨年は2試合に先発しただけで0勝に終わった。これまでの手術歴は9度を数え、トミー・ジョン手術だけでも3回経験している。ヤクルトは功労者に優しい球団ではあるが、今年が3年契約の3年目ということもあり、回復の兆しが見えなければそのまま引退ということも十分に考えられる。

 連覇を果たした広島では、永川勝浩が昨シーズンは一軍での登板なしに終わった。球団記録となる通算165セーブをマークしているが、2010年以降は抑えの座を完全に明け渡している。落差の大きいフォークで三振を奪う投球から、ボールを小さく動かして打たせて取るスタイルへの変化を図ってはいるが、もともと緻密さがある投手ではなく、かつての球威が戻らないと厳しい印象だ。

 他にも、投手ではトライアウトから這い上がったものの、故障で今季は育成契約となった久保裕也(楽天)、野手では代打での成績が下降しているG.後藤武敏(DeNA)と矢野謙次(日本ハム)も崖っぷちの松坂世代と言えるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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