女子ジャンプに異変が起きている。昨シーズンはワールドカップ(W杯)開幕戦のリレハンメル大会で連勝したあと第6戦までに5勝を挙げるなど、出場した全17戦で9勝をあげて表彰台を外したのは僅か2回という強さで総合優勝を果たした高梨沙羅が、今季はこれまでの個人4戦(第5、6戦はキャンセル)で優勝はなく、表彰台は2度の3位だけで総合3位に甘んじているのだ。昨年8、9月のサマーグランプリでは、第2戦で体重不足による失格はあったが、それ以外は3勝、2位1回で総合優勝を果たす圧倒的な強さを見せていた。だが、冬シーズンへ入るとその様相は一変した。
高梨が開幕戦のリレハンメル大会初日の予選で口にしていたのは、助走路への対応ができていないというものだった。傾斜角度が緩やかで、斜度が変化する踏み切り前での上から押さえつけられる圧力(G)が他の台より弱くて感じにくいと話した。「助走路がなだらかなので、そのGを感じようと意識し過ぎてしまうと踏み切りのタイミングが遅れてしまう。そのタイミングの遅れにより飛び出しで体がねじれてしまい、空中ではバランスを崩したまま飛んでしまった」と。
リレハンメルのジャンプ台は前季の開幕戦では連勝して相性のいいジャンプ台だったが、あまり好きなジャンプ台ではないとも話していた。
その不安は翌日からの本戦で如実に出てしまった。最初の試合は「1本目はタイミング自体はズレていなかったが、テイクオフの仕掛けが遅くなってしまって、そこからあわてて立ったので、上半身が跳ね返ってしまうようなジャンプになって空中で空気抵抗を受けてしまった。2本目もそこは修正できたが、1本目の名残が残っていて、空中でのバランスは良くなかった」ため4位にとどまったのだ。2試合目は前日のジャンプで気がついた助走姿勢の崩れの改善を意識したが、それを空中姿勢にまではつなげられず、またもや4位という結果。3日目のラージヒルでは少し踏み切りの感覚が戻ってきたが、3位がやっとという結果だったのだ。