正月明けの5日昼、関東ほぼ全域で携帯電話の緊急地震警報が一斉に鳴り響く騒ぎがあった。
気象庁によると同日午前11時2分、茨城県沖を震源とするマグニチュード4.4の地震があり、同県神栖市で震度3を計測した。
驚かされたのは、地震の規模が小さいにもかかわらず、携帯電話の緊急地震速報が鳴り響き、NHKでも地震の状況を伝える速報番組が放送されたことだ。しかし、大きな被害が出るほどの強い揺れはなかった。
結果的に“誤報”となってしまったわけだが、なぜこのようなことが起きたのか。気象庁地震火山課の担当者はこう話す。
「原因は現在調査中ですが、同時刻に富山県を震源とする震度3の地震が起きていて、茨城県と同じ地震と認識し、地震を過大に認識してしまったと思われます」
気象庁によると、携帯電話などに緊急地震速報が発表されるのは最大震度が5弱以上で、震度4以上が予想される地域に流れる仕組みになっている。今回の速報では、関東地方のほかに福島県の一部にも速報が出た。
同様の誤報は過去にもあった。2016年4月の熊本地震では余震が多発し、同月17日に震度2で緊急地震速報が流れたことがあった。この時も、同時期に発生した別の地震を一つの地震と認識したのが原因だった。
同庁では小規模な地震を過大に予測しないようシステムの改善を続けているが、今回はまたもやシステムの「すき間」をすり抜けてしまった形だ。
前出の担当者は、“誤報”について「申し訳なかった」と陳謝しながらも、「速報性を重視して人の目を介さずに通知が出るので、限界もあります。そのことも理解していただいて、速報が出た時はまず身の安全を確保してほしい」と話している。(AERA dot.編集部・西岡千史)